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【町内会 顛末記】自治会長というのをやってみた 8

 日赤募金の協力についての文書について、発信元である「〇〇〇市日赤活動資金募集協力協議会」(何のことはない。本体は自治連合会で、事務局を市の厚生福祉課に置いている)に話を聞きに行った。

 そもそも「任意で自由」なはずの寄付に「目標額」を設定することが矛盾しているし、それによって自治会役員が板ばさみになって町内会費より「目標額」を支出、それが町内会の会計を圧迫している現実がある。市役所もそうした実情をもっと把握して、いい加減に単なる日赤の体のいい集金システムと成り下がっているこうしたやり方を見直すべきではないかと「目標額の記載削除」を求め、どうしても「目標額」を設定しなければならない根拠を教えて欲しいと執拗に食い下がった。

 最初は初老の担当者が相手をしていたのが、困った顔をしながら何度か奥座敷へ相談に引っ込み、最後に「仕方ねえなあ」といった感じで偉そうに後ろの席から出てきたYヤマナカとかいう課長は「日赤が言ってくる目標額を協議会で検討しただけ」を繰り返すばかりで、最後に「これだけ説明してもダメなら、もう分かってくれなくて結構」と言うので、わたしも流石に激昂して「それならこんなもの、送ってくるな。あんたらが送ってきたから、内容について問い合わせしているんだろ。分からなくてもいいとは、どういうことだ」と声を荒げたのだった。


 上記の「厚生福祉課課長とのバトル」について、SNS上で知り合いの市議にわたしが寄せた上品なコメントがあるので、多少これまでの記述と重複する旨もあるが、そちらも引いておこう。

 今回の高槻のブロック塀事故は、「子どもの方を向かずに、組織の方ばかり向いている」行政や学校現場の管理者たちの「確信犯」で、わたしは殺人罪にするべきだと思います。

 娘が小学生のときのVOC(建材等の化学物質)検査でも校長は教育委員会にまかせっきり、教育委員会は業者に丸投げで、誰も子どもの安全など考えていないことがはっきり分かりました。あのときの担当者は「今後、検査を施工業者とは別個の第三者機関に直接委託する」という約束をしましたが、口約束だったのでたぶん、守られてないでしょう。

 行政は担当部署の異動でしろうとばかりだから、施工業者をチェックする能力も機能も責任感もありません。

 先日、町内会への日赤募金について「なぜ目標額を設定しなくてはならないのか説明して欲しい」との問いに、対応した厚生福祉課の課長は「分からなくても結構だ」と居直り、唖然としました。

 行政が市民に、国家が国民に「分からなくて結構」となれば、まさに文書を隠そうが、改竄しようが、嘘をつこうが、平気の平左。末端まで上と同じようになってきたと実感しました。

 高槻市の教育委員会や学校管理職のずさんさ・無責任さは、6年前の〇〇〇市の小学校も同じでしたね。いまもおなじだと思います。

 募金の目標額に対する制裁等はありません。ただわたしが今回、町内会会長になったときにわが町の会計、町内会費の収入に対してもろもろの寄付がじつに8割を占めていました。これが前の会長在任の10年は続いていたわけです。会社であれば倒産ですね(^^)

  神社仏閣、協賛金、祝儀、募金・・・ 構造はいっしょで「目標額」が提示され、都度一軒一軒集めて回るのは大変なんで、町内の役員も町内会費からの支出とし、それが慣例になってしまう。「ことしも前年どおりでお願いします」 強制ではないですが、いわば「見えない圧力」があるわけです。寄付なのに金額がすでに提示されて、「ことしも前年と同じで」と自治連合会などでいつの間にか「決定」されている。

 うちの町内会費は月額300円です。わずかな金額ですが、1年分を払えずに、半年で分けて欲しいと言われる方もいます。そうして集めたお金のほとんどが町内のためでなく、寄付へ流れてしまう。その間、町内の掲示板はぼろぼろで、消火器は10年前の期限切れでした(今回、ぜんぶ、新設しましたが)。

 要するに町内会を体のいい集金シ ステムとして利用している社寺や社会的団体(日赤、社会福祉協議会、消防団等々)などがあり、それに行政も見事につるんでいる。そういうものを変えていかなければダメだと思います。わたしのように図々しく声をあげて「じゃ、強制じゃないんですね?」と言える人間ならいいですが、だいたい町内会の会長はお年寄りばかりで、いろいろとしがらみもあったりして、ついつい言われた「目標額」を満額払ってしまう。払わないと角が立つだろうな、と(^^)

 そういったもろもろの仕組みの果てに「8割が寄付」という実情があるわけで、わたしは厚生福祉課の窓口で上記を懇切丁寧に説明して、役所もそうした末端の実情を理解する必要があるんじゃないかと訴えましたが、お題目を唱えるだけで、果てが「分からなくて結構」でしたね。

 すべての寄付に対して「目標額」を撤廃するべきだとわたしは思います。「そうすると、集まらないでしょ」とY課長は言うので、「ああ、それが目標額を設定する理由なんですね?」と突っ込むと、まずいと思ったのか「いや、間違えました。訂正します」と(^^) でもそれが本音のところなんだろうなと思いますね。

 かれらは市民を見ているわけではなくて、たぶん違う方向をみているのだろうと、自治会長になって役所によく行くようになって思うようになりました。それは上司など組織の中の上の方をたぶん見ているんでしょう。市民の方を見ているわけでない。だから「分からなくて結構」なわけです。 「なぜ、どうしても目標額の設定が必要なのか?」 市は説明する義務と責任があるんじゃないでしょうか? 「分からなくて結構」は行政ではなく、ヤクザです。

 VOC検査も、現在、どのような運用がされているのか、適正にされているのか、気になりますが、わたしもこう見えてもナイーブなニンゲンなので(^^) 身が持たないです。無駄な輩と無駄な時間を消費したくない、と考えるようになりました。

 繰り返しますが、日赤の寄付に強制力はもちろんありません。うちは今回から集金箱を回して「任意で自由です。いくらでもいいし、出したくなければ出さないで結構です」という方法にして、町内会費からは出さないことにしました。いくら集まるか分からないですが、おそらく市の協議会が告知してきた「目標額」は下回るでしょう。すべての町内会がおなじようにしたら、たぶん寄付を募っている各種団体はきっと困るでしょうね。寄付なのに、なぜ困るのか。だれもそこに切り込もうとはしません。たぶん、切り込んじゃダメなんでしょう。

>日赤の活動資金募集協議会
 本体は自治連合会で、事務局が市厚生福祉課です。
年に一度だけ市民ホールに集まって「前年どおり」を決めるだけの評議会で、立派な判子もつくってらっしゃいます(^^)

 募金についてはじっさいに町内からも「出したくない」という声もありました。

 ご覧頂いたように、評議会からの通達自体がもう「決まり。頼むで」って感じなんですよね。

 だから目標額は撤廃して、「任意で自由」を明文化すべき、というのがわたしの提案でしたが、お気に召さなかったようです。

 自治会は市役所の配布物や掲示物なども協力していますが、もううちだけ行政から完全に離脱しようかと本気で思いましたね(^^) 役所から少々の協力金をもらっていて、自治会によっては自治会長のポッケ内々にしているところもあるようですが、うちはそんなはした金、べつに要らんし。

 念のため以下、追記です。

 最終、Y課長へ「日赤側へ、何らかの改善提案をこちら側からするということはできないのか?」と問うと、「それは検討してみるが、とにかく今年は従来通りでやる」と言うので、「回答をいつもらえるか? 文書で欲しい」と言うと、「回答は口頭で伝える。文書で欲しければそちらも文書で出してくれ」と言われました。

 帰ってその日の夜に文書を作成しましたが、どうせこちらが一生懸命書いても通り一遍の回答しかよこさないだろうし、どうせあの部署のトップはどうもあの課長らしいからあんな態度ではこれ以上何も期待できないだろうから、無駄なエネルギーを費やすだけだ。もう少し効率的・効果的な異議申し立てはできないだろうか考えよう、と思いながらじつはまだあんまり考えていません(^^)

 現状、そんなところです。

 厚生福祉課は当初から「あくまで目標だから、集まったぶんだけでいい」と言ってくれてます。でもわたしは「うちだけの問題じゃない。全体としておかしいから是正すべき」という主張です。これは日赤募金だけでなく、まだ協力依頼の書面が来ていないので出方待ちですが、市長が代表をつとめる社会福祉協議会の歳末助け合いと共同募金もおなじことだとわたしは考えています。


 以下、怒りに任せて書いたものの、無駄な苦労だと結局出さなかった文書。バトルの最後に「名刺、頂けますか?」と言うと、件のYヤマナカはこれまた「面倒くせええなあ」オーラを全開放出しながらじぶんのデスクまでもどっていって、投げやりといった感じでわたしに名刺を渡した。余程、この文書をY課長の鼻っ先に突きつけてきてやろうと何度も思ったのだが、これ以上、希望の見込めないやりとりに費やすエネルギーが当時のわたしにはなかった。けれど、内容についてはいまも間違っていないし、有効だと思っている。

平成30年6月14日
〇〇〇市厚生福祉課 
御中〇〇町自治会 

会長「日赤募金の協力」について 

掲題の件につきまして、まず、以下の現状及び見解を述べさせて頂きます。

① 「〇〇〇市日赤活動資金募集協議会」名にて毎年、「町内世帯数より算出した」目標額を明示した文書が配布される。厚生福祉課では「あくまで目標であって、強制ではない」と説明されるが、そもそも自由で任意であるはずの寄付に対して金額設定がされていること自体がおかしいし、矛盾している。

②  滋賀県甲南市希望ヶ丘の住民による「自治会費への募金上乗せ訴訟」について2008年、自治会費による徴収は「思想・信条の自由(憲法19条)を侵害する」とする最高裁判決が確定されている。同自治会に於いて、かつて個別訪問で寄付を集めていたが徴収側の負担増しにより定期総会で自治会費に上乗せして徴 収することを賛成多数で決議していた。

③  上記②の滋賀県甲南市のケースは、町内自治組織を集金の効率的なシステムとして利用している日赤や社会福祉協議会を含む各種団体及びそれに連携した行政と、個別の徴収や説明によって生じる負担との板ばさみになりがちな自治会役員の苦しい立場をよく反映していると思われる。

④  自治会長等の役員にあっては高齢者が多く、慣例を重んじ、従来の人間関係等のしがらみなどによって、寄付金等の依頼については「これまで通り」とし、甲南市のように徴収や説明による負担増しを避けるために町内会費より支出する向きが多い。〇〇町にあっても十数年来おなじ自治会長の元で同様の状況が続いてい て、世帯数の減少も加わり、平成29年度の会計では社寺仏閣を含む寄付金額の割合が町内会費による収入のじつに8割強を占めていた。行政はとおり一遍の説明でなく、こうした「集金システムの末端」の現状にもっと耳を傾けるべきではないか。

 上記理由により、〇〇町自治会として以下のことを提案、検討依頼します。

① 上記4項目を踏まえた上でなお、目標金額の設定が必要であるのなら、納得のできる合理的な根拠・理由を明示して頂きたい。(「日赤が設定してくるから」は要りません)

② 行政が「集金システムの末端」に耳を傾けるために、町内会費に占める寄付金の割合、徴収方法、負担、要望等に関するアンケートを各自治体に実施して、実情を把握して頂きたい。

③  日赤側と話し合いを行い、「日赤募金の協力」依頼文書に於ける各自治体への目標金額の設定及び表記を廃止し、「寄付はあくまで個々の任意にもとづいて行われるものであって、金額もまた自由なものである」旨を明記して頂きたい。

④  当該書面に対する回答を文書にて頂きたい。

以上

 行政や社寺仏閣などの体の良い集金システムの末端に貶められている町内会で、8割にも及ぶ寄附金が町内会を疲弊させているという現状に対して、「それは大変ですね! う~ん、いっしょに何か考えましょう」という言葉すらも出ず、ひたすら組織の馴れ合いや慣習ばかりに寄り添い、「分からなくて結構だ」と宣言する行政など、必要があるのだろうか?

 ジョン・レノンはかつて「神はわれわれの苦痛を測る物差しに過ぎない」と歌った。であるならば、国も地方自治体も、所詮は人が集団でよりよく生きるための「方便」のようなものに違いない。「方便」を支えるために人が犠牲にならなければいけないとしたら、本末転倒なことだとわたしは思う。



以下の内容で、連載を予定しています。
第一部 【町内会 顛末記】自治会長というのをやってみた
第二部 【町内会 顛末記】町内会を殲滅し廃墟の中から真実の自治組織の出現を待とう

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