本を読んだところで
「おすすめの本を教えて」と言われることがあります。
職場での空き時間、朝と昼、休憩中といつも本を読んでいるからだと思われる。
いつも思うのです。おすすめって何?と。
私の趣味趣向を知りたいわけではないだろうし、この人の希望としている本を選書できる自信なんてない。
「本を読みたいなら書店にいって、自分で探したらいいよ」と言ってやりたい。しかし私にそんな無遠慮な勇気はないし、そんなことを望んでいるわけではない。
そもそも、なんで本を読もうと思ったのか。漠然とした本を読みたいという欲求はどこからでてきて、なにを目的としているのだろう。
本を読んだところでどうなるわけでもないのに。
ある後輩との問答になります。
「いつもはどんな本を読んでいるの」
「これから読書をはじめようと思いまして」
「なんではじめようと思ったの」
「本くらい読んだ方がいいと言われたので」
「本を読むとなにがいいの」
「頭がよくなるんですよね」
「ならないよ。むしろバカになる」
「じゃあなんで本なんて毎日読んでるんですか」
「面白いからだよ」
「なんの役にたつんですか」
「そんな目的で読んでないよ。趣味の結果、学びを得ているだけだからね」
「役にたってるじゃないですか」
「結果的にはね。で、どのカテゴリの本がいいの」
「なんでもいいので、おすすめをお願いします」
最後は諦めたのですが、マジ辛い。こうゆう人ってどういう神経をしているのでしょうか。
本に限らず映画や音楽、ファッションやコスメ、すべてにおいて言えます。
おすすめを聞くときは、質問の内容を明確にした方がいいでしょう。いい迷惑です。
自分で本を選べないような人間は、なにを読んだところでなにもならないのだから。
この後輩に渡したのはこの本。
後輩はすこし顔をしかめておりましたが、見えないフリをして押しつけました。