「レーエンデ国物語」ザックリしたあらすじで振り返る〈年代史〉
全5部からなる壮大なファンタジー小説。
「革命の話をしよう」
歴史のうねりの中に生まれ、信念のために戦った者達の
夢を描き、未来を信じて死んでいった者達の
革命の話をしよう。
自由のため、帝国の支配に抗う者達がいた。
レーエンデの誇りのために、戦う女がいた。
弾圧と粛清の渦中で、希望を歌う男がいた。
夜明け前の暗闇に立ち向かう、兄と妹がいた。
飛び交う銃弾の中、自由を求めて駆け抜ける若者達がいた。
「レーエンデに自由を」
ラストとなる第5部の発売へ向けて、各部のあらすじを簡単にまとめます。
※ ネタバレあり!
未読の方で、読んでみようかな?と思っているなら、いますぐに閉じることをオススメします。
ぜひ、初見での感動と興奮を味わってもらいたい。
第1部
『レーエンデの聖母』と呼ばれることになる運命の女性、ユリア・シュライヴァの物語。
守られるだけの少女から、自立していくユリア。
未来へと希望をつなぐため、命をかける英雄ヘクトル。
レーエンデのために自分を犠牲にする、ウル族の射手トリスタン。
銀呪病という不治の病が蔓延するレーエンデ地方は、呪われた地とされ、恐れられている。
しかし、それ以上に美しい土地でもあった。
樹海が広がる広大な森には、銀色の動物が生息する。泡虫と呼ばれるシャボン玉のようなものが空を舞う。
天へと伸びる乳白色の幹をもつ、古代樹の樹林にはウル族が住んでいる。
聖イジョルニ暦537年 初夏 ――。
ユリアはレーエンデの地へ足を踏み入れる。
見るものすべてがはじめてで、父ヘクトルの話に聞いていたとおりの、御伽話の国だった。
守られるだけだったユリアは苦難を経験し、大きく成長する。
はじめての仕事、はじめての親友、はじめての恋、すべてが新鮮に輝いていた。
聖イジョルニ歴542年4月14日 ――。
後に『奇跡の日』と呼ばれるこの日に、帝国軍はレーエンデに進行し、ノイエレニエを支配し、神の御子を手中に収める。
『天満月の乙女』として生まれたユリア自らが、愛するレーエンデの災厄となってしまう。
帝国の支配に抗った者たちは自由を奪われ、レーエンデはイジョルニ人のものとなる。
第1部は壮大な序章のような物語となっていて、レーエンデの魅力を存分に堪能できます。
ここから、レーエンデの苦難の歴史が始まるのです。
第2部 月と太陽
自由だったレーエンデを知る者はいなくなり、
支配されたレーエンデしか知らない者たちが育っていた。
『英雄』となる、テッサ・ダールと『残虐王』と呼ばれる、ルチアーノ・ダンブロシオの物語。
聖イジョルニ暦664年 7月 ――。
何不自由のない暮らしは、唐突に終わりを告げる。
屋敷にいた自分以外の者はすべて殺された。
ひとり生き延びたルチアーノは、ルーチェと名を偽りティコ族のテッサと出会う。
人頭税を払えないダール村の危機を救うため、テッサは親友のキリル、イザークとともに戦場にいくことを決めた。
留守を守るルーチェは不正な税徴収に気づき、帝国へと訴える。しかしそのことが司祭長の逆鱗に触れ、神騎隊の襲撃に遭う。
村人は虐殺され、テッサの姉であるアレ-テも殺される。
またしてもひとり生き残ったルーチェは、戦場から戻ってきた3人とともに復讐へ向かう。
レーエンデを帝国の支配から救うため、『レーエンデ義勇軍』を組織する。
さまざまな苦難を経験し、レーエンデの自由と誇りのために戦ったテッサの革命は、失敗に終わることになる。
レーエンデ人には絶望が足りなかった。
革命を成功させるためには苦痛を与えて、さらに苦しめる必要がある。
テッサ亡き後に法皇帝となったルチアーノは、レーエンデにさらなる苦痛を与える。
第2部では、蹂躙されたレーエンデをさらに痛めつけます。革命の種子を蒔いて、育てる。大切な章になっているのです。
第3部 喝采か沈黙か
悪政により矜持を失い、沈黙を選び、自由は死んでいた。
夢を描き、未来を信じた者たちが立ちあがる。
たったひとつの曲のために命をかけた『天才戯曲家』リーアン・ランベールの物語。
聖イジョルニ暦798年 冬 ――。
帝国によって存在を消された英雄、テッサ・ダール。その存在を知ったティコ族のリーアンは、その物語を描くために弟のアーロウと旅に出る。
行く先々で語られるテッサの話は想像とは違い、悲壮に満ちていた。悲運の英雄像だったのだ。この物語は世界を変えると確信したふたりは、完成のために全身全霊で取り組む。
聖イジョルニ暦830年 4月 ――。
英雄テッサ・ダールの物語である戯曲『月と太陽』が公開される。
喝采を浴び、感動を生み、レーエンデ人の希望となった。
劇中歌『レーエンデに自由を』は、永遠の名曲となる。
弾圧と粛清の渦中で希望を歌うルミニエル座の講演には、イジョルニ人の姿もあった。
第3部は、絶望の暗闇に、希望の明かりが灯されます。
失われた矜持と尊厳を取り戻し、革命の種子は芽吹きました。
第4部 夜明け前
不信と不満が蔓延し、諍いや犯罪が頻発した。
誰もが今日を生き抜くのに精一杯で、未来を考える余裕などなかった。
『希望の曙光』となる、レオナルド・ペスタロッチと『冷血の魔女』と恐れられる、ルクレツィア・ダンブロシオ、異母兄妹の物語。
聖イジョルニ暦897年 8月 ――。
4大名家の嫡男レオナルドは親友ブルーノとレーエンデ人が多く暮らす旧市街の夏祭りへと出かける。そこでの出会いが、レオナルドの人生を決定づけることになった。
戯曲『月と太陽』を譲り受け、英雄テッサの物語に魅了される。
聖イジョルニ暦907年 7月 ――。
レオナルドとルクレツィア、光と闇、運命のふたりが出会う。
夜明け前の暗闇に立ち向かった兄と妹。
妹の想いに応える兄は、銃口を向ける。レーエンデのため、御子を原初の海へと返すため、引き金に指をかける。
第4部では、ついに革命が起きます。
恐怖と絶望に落とされたレーエンデ人がついに、立ち上がるのです。
第5部 海へ
ユリア・シュライヴァが作った北イジョルニ合衆国。
テッサ・ダールが残した矜持と尊厳。
リーアン・ランベールが繋いだ未来への希望。
レオナルド・ペスタロッチが起こした革命。
受け継がれた思いは400年の時を超える。
飛び交う銃弾の中、自由を求めて駆け抜ける若者たちがいた。
革命の物語だけあって、重く、苦しい話が続きます。矜持を守るため、信念を貫くため。
ウル族、ティコ族、ノイエ族、イジョルニ人、種族の壁が少しづつなくなって、手を取りあうことになっていく話が胸を熱くします。
ファンタジーなのにリアルな世界が広がって、幻想に住む人達が魅力的で、だんだん好きになっていきます。
100年ごとに物語の場面が変わり、想いが受け継がれて、引き継いだ者が命をかける。
命を落とすときには、未来へと希望を託します。苦難の連続だったはずなのに、どこか満足して、幸せそうなのは、全身全霊で生きてきたから。
これは国を起こす物語。
いままでの苦難、絶望、恐怖、犠牲となった者達の想いが、ついに身を結びます。
私はこの物語に出会えて、とても幸せです。
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