第十四の覚書(触れた分だけパンチをくらわすFPさん)
今回も病棟で出会ったちょっと不思議な人のお話。
誰だって知らない他人に前触れなく触られるのは嫌なはず、だが。
自分が他人から触られた分だけ、相手にパンチをし返す人がいた。
(FPさんとする)
例えばたまたま袖が触れ合ったら、その人に同じ程度(とFPさんが考えているらしい)のパンチをくらわす。
だから第六の覚書で登場した、目が悪くてよく人にぶつかるYBさんがFPさんにドンっとぶつかった日には・・・かなりの勢いでFPさんはYBさんにパンチをくらわしていた。
そういえばデイルームの座席は別に決まっているわけではないのだが、みんなの定位置らしきものが、なんとなく決まっていた。
ある朝、まだ新入り時代の僕が悪気なくそこに座っていたら、FPさんの座席だったらしく、「僕の席とらんといて」と穏やかに言われた。
全然怒っていなかったら、後でTさんに「やばいことにならんくて、よかったですね」とのことだった。
だがその「やばいこと」が後日恐ろしい形として姿を現すとは、このときは僕は思っていなかった。
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