まーくん

とりあえず、四の五の言わずに、書いていきます。

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マガジン

  • (仮題)覚書のような物語

    つらい経験の追憶。信じるも信じないも、読み手次第。 僕も気分次第で公開と非公開を繰り返すつもりです。

  • 名曲への追憶

  • 孤独な夢想家の戯言

    アダルトチルドレンとして育った自分の苦しみを、文字面にして叫びます。

  • 夢想家別館

    「孤独な夢想家の戯言」におさまりきらなかったもの。中の人のさらなる思い。などなど。

最近の記事

第十四の覚書(触れた分だけパンチをくらわすFPさん)

今回も病棟で出会ったちょっと不思議な人のお話。 誰だって知らない他人に前触れなく触られるのは嫌なはず、だが。 自分が他人から触られた分だけ、相手にパンチをし返す人がいた。 (FPさんとする) 例えばたまたま袖が触れ合ったら、その人に同じ程度(とFPさんが考えているらしい)のパンチをくらわす。 だから第六の覚書で登場した、目が悪くてよく人にぶつかるYBさんがFPさんにドンっとぶつかった日には・・・かなりの勢いでFPさんはYBさんにパンチをくらわしていた。 そういえばデ

    • 第十三の覚書(新聞を独り占めするSHさん)

      デイルームにはテレビが2台ということは、前に書いた。 同じように、新聞も2部。 (なぜそれだけ「2」にこだわるのか) ところが、みんながマナーよく使うということができない。 朝食の後にその日の日刊紙が配置されるやいなや、まるで有名人を取り囲むかのように、新聞に食いつく人たち。 昼食の前にはボロボロになっている。どういうことだ! マナーよく使うことができない。フロアに2部しかない新聞。 そのうち1部を独り占めしている人がいることに気づいた。 (新聞を独り占めするから、

      • 第十二の覚書

        前回の記事で窓が開かない、新鮮な空気が吸えないことの苦痛を書いたけど。 とにかくあそこは理不尽なルールや禁止事項が多すぎると思った。 例えば石鹸は各自、自宅から持参しないといけない。 手洗い場には備え付けられていないからだ。 「もしかして食べてしまう人がいるからですか?」 と看護師に聞くと、「そう」と回答された。 鉛筆やボールペン類は、ナースステーションで都度借りないといけない。 「もしかして凶器になるからですか?」 「そう」。 ipodやポータブルCD類を持ち込ん

        • 第十一の覚書(カラオケ好きのNKSさん)

          第九の覚書で作業療法のことを少し書いたが、作業療法がうれしかったのは、少しの間だけでも新鮮な空気が吸えることだった。 閉鎖病棟は窓が開かない。たぶん近年のコロナ禍でも状況は変わらんかったのではないだろうか。 フロアの入口に鍵がかかっており、別のフロアに行くのも医師の許可のもと、看護師や介護士の引率でしか移動ができない。 精神的・物理的に閉じ込められる感覚が、これほど人間をむしばむことはないと思った。 そんなたまの作業療法の時間。Tさんはよく屋外でPCさんとキャッチボールを

        第十四の覚書(触れた分だけパンチをくらわすFPさん)

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        • (仮題)覚書のような物語
          14本
        • 名曲への追憶
          11本
        • 孤独な夢想家の戯言
          21本
        • 夢想家別館
          1本

        記事

          第十の覚書

          入院患者さんは全員男性であることを除いて、何もかも謎のまま。 プライベートなんだけど、一緒に寝泊まりする人々だとなると、気になって仕方ない。 もちろん年齢も不詳。 ある日、なんとなく自分と年齢が近そうな男性がいるのを見つけた。おとなしそうな人だった。 デイルームでその人を見かけて、とりとめもない話をしてみた。普通に返答は帰ってきた。 だが彼は、突然僕にこう聞いたのだ。「ところで、あなたはクリスチャンですか?」。 なぜこんなことを聞くのかびっくりしたが、常に本を持ち歩

          第十の覚書

          第九の覚書

          週に2回のお風呂と、毎日決まった時間にとる何とも味気ない食事。 それ以外はひたずら、朝から夜までベッドかデイルームで過ごすしかない日々。 その時も今も入院に納得していない自分にとっては、まったく無駄でしかない時間の浪費であった。 そんな日々に他のみんなもストレスがたまるのか、毎日のように誰かと誰かの口論。悪態をつくだけでは飽き足らず、手を出したりデイルームの椅子を振り上げて暴れる人なんかもいた。 そうなると看護師や介護士がすぐ飛んでくる。悪質と判断された場合は則、隔離室行

          第九の覚書

          名曲への追憶(11)中原理恵『東京ららばい』

          ちょっと前だと考えられなかったが、最近の世の中はなんでもインフレだという。 そうはいっても、東京の家賃は高すぎる。もはやフツーの日本人が住める街ではなくなってきている。 例えば2023年に開業した「麻布台ヒルズ森JPタワー」の中にある居住用分譲マンション・「アマンレジデンス東京」の価格は、なんと最高で200億円以上というのだから、驚きだ。 (引用:最高価格200億円!「麻布台ヒルズレジデンス」は日本一の高級マンションだが意外なデメリットも?!) そして麻布といえば風街。風

          名曲への追憶(11)中原理恵『東京ららばい』

          第八の覚書(元自衛隊員のMJさん)

          ある日の夕食時でのこと。 食事は一応朝、昼、夕と出る。デイルームで集合して食べるので、個食は許されない。 テレビも消せと言われ、食べる前にみんなで「いただきます」を言う。 まるでガキのような扱いだ。 一般病棟でも入院したときによく見る、あの食事が入っているケース。 看護師さんがデイルームの中央に運んできて、一人一人名前を呼ばれて取りに行く。 (一応アレルギー持ちや高齢の人に配慮して、間違いがないようにしているらしい) 「○○さん。おかえりなさい」。 ん?「おかえりなさ

          第八の覚書(元自衛隊員のMJさん)

          第七の覚書(手紙を下さったR神父さん)

          入院する少し前に、運命的な出会いを果たしていたのは、今は亡きR神父だ。 出会いといっても、手紙とメール。電話だけ。 そうそう、最初の出会いはR神父の書かれたいたとある一冊の本だ。 本当はリアルでも対面して会えるはずだった。実際に会うつもりでいた。 だがしかし、結果それはかなわなかった。 「○○は入院をする必要はないね」とR神父は断言していた。 だが悪魔の誘惑により、災難に見舞われてしまうことになった。 入院の寸前、R神父と電話で話すことができた。 「そうですか。でも

          第七の覚書(手紙を下さったR神父さん)

          第六の覚書(よく人にぶつかるYBさん)

          今回も、病棟で出会った少し不思議な人をご紹介。 ふとした瞬間、何の前触れもなくぶつかってくる人がいた。 僕は最初、この人に嫌われていたと思っていた。 明らかによけるそぶりもなく、堂々と向かってぶつかってきやがる。絶対わざとだ。 ある日看護師長さんにこのことを相談してみると、「アイツは目が悪いんや」という。 いや目自体は、しっかりと見開いているように見えるのだが・・・ しかし人にぶつかったら、都度都度謝ればいいのに。 その後も観察すると、なるほど確かに僕以外にもしょっ

          第六の覚書(よく人にぶつかるYBさん)

          第五の覚書(プロレス好きのPSさんとサッカー好きのSDさん)

          今日は病棟で出会った印象深い住人を、二人紹介しよう。 1人目。 体型は太目。プロレス好きの男性でPSさんとしよう。 何かあればプロレス、プロレス。 僕が静かに本を読んでるときに邪魔してくる人はいなかったが、ひとたび雑談の輪に加わるとプロレスの話になる。 一般社会と違わず、朝はだいたいみんなテンションが低かった。 しかしPSさんだけはご機嫌。僕や馴染みの人と顔を合わせると「よっ!」といって手をあげる。 そこまでならば、ちょっとテンション高めの感じのいいおじさんだと思

          第五の覚書(プロレス好きのPSさんとサッカー好きのSDさん)

          第四の覚書(盗癖のあるOMさん)

          第一の覚書で書いた翌日の朝。 Tさんの「とんでもないところに、来てしまったと思ってるでしょう」との声そのままに、ゲンナリしながら朝を迎えた。 食事はデイルームで一斉に食べる。一人になりたかったのだが、部屋で個食することも許されない。仕方なしにデイルームに向かうのだが、またこの時間も穏やかでない。 決まっているようで決まっていない席に座り、うつむきながら硬すぎるコッペパンに手を伸ばす。 瞬間、目の前を何かが動いた。びっくりした。さっきまで僕の左前にあったはずの牛乳が斜め

          第四の覚書(盗癖のあるOMさん)

          第二十一の叫び-「幸せな家庭を作り直す」とは?

          母からは父の悪口を言われ。 父からは母の悪口を言われ。 父方の祖母からは、母の悪口を言われ。 母方の祖母からは、父の悪口を言われる。 誰も見ていないところで、僕にだけ。 結局夫婦や家族なんてものは、対外的にはいい形のふりをして、実のところ憎しみあっている。 子供は実のところ、自分たちの所有物、願望をかなえるための道具でしかない。 そんなことを今になって言語化できているわけだけれど、幼い自分にとっては、何か違う?違和感。もやもやのようなものでしかなかった。 (以前か

          第二十一の叫び-「幸せな家庭を作り直す」とは?

          第三の覚書(返事が遅いHOさん)

          フロアにはSRさんのような眼光の鋭い御仁も何人かいたが、一見して何も問題がなさそうな人のほうが圧倒的に多かった。 その中の一人。とてもおとなしそうな男性。40代ぐらいに見えた。 こちらが質問をしても返事を返してくれる。だがその応答速度が、「異常に遅い」のだ。 その人をHOさん(返事が遅い)としよう。 僕「HOさんは、どんな仕事をされてたんですか?」 (およそ1分後) HOさん「深夜のトレーラーをひっぱっていたよ」 僕「僕は退院できますかね・・・」 (およそ30秒

          第三の覚書(返事が遅いHOさん)

          名曲への追憶(10)林原めぐみ『Give a reason』

          元祖声優アーティスト・林原めぐみさん。 声優さんについてあまり詳しくない僕が初めてその名を知ったのは、昼休みの休憩時間に流れていた『Successful Mission』(アニメ『セイバーマリオネット』のオープニングテーマ)という曲だった。 声優さんから音楽へ、ではなく音楽から声優さんへという流れである。 当時すでに林原さんは『スレイヤーズ』のリナ、『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイなど、そうそうたる役柄を演じられていたわけで。 「閣下」などのあだ名がつけられている

          名曲への追憶(10)林原めぐみ『Give a reason』

          第二の覚書(背中に龍が入ったSRさん)

          そんなTさんが僕以外に気にかけていた人がいる。 やせ型で、院内を移動する際は車いすを使っている。 一見温和そうなおじいさん。 しかし、眼には鋭い眼光を宿している。 お風呂は週に三回。決まった曜日に同じフロアの患者がいっせいに入る。 その人を見てはっとした。背中一面に立派な龍を飼っているのだ。 温和そうに見えて鋭い眼光の理由はこれか。合点がいった。 以下、この人のことはSRさん(背中に龍)とでも呼ぶことにしよう。 僕は昔、学校になじめない生徒だった。陰湿ないじめにも合い、

          第二の覚書(背中に龍が入ったSRさん)