第六の覚書(よく人にぶつかるYBさん)
今回も、病棟で出会った少し不思議な人をご紹介。
ふとした瞬間、何の前触れもなくぶつかってくる人がいた。
僕は最初、この人に嫌われていたと思っていた。
明らかによけるそぶりもなく、堂々と向かってぶつかってきやがる。絶対わざとだ。
ある日看護師長さんにこのことを相談してみると、「アイツは目が悪いんや」という。
いや目自体は、しっかりと見開いているように見えるのだが・・・
しかし人にぶつかったら、都度都度謝ればいいのに。
その後も観察すると、なるほど確かに僕以外にもしょっちゅう他人にぶつかっている。
この人のことは以後、YBさん(よく人にぶつかる)にしよう。
こんふうだから、YBさんは他の患者さんとの小競り合いも多い。
ある朝も、第一の覚書で記載したTさんの足を平気で踏んづけたようだ。
普段は温厚なTさんだが、
「ワレ、なに人の足踏んどいや!!」とYBさんに怒号を浴びせていた。
また前回の記事で紹介したプロレス好きのPSさん。
この人もYBさんのことが嫌いらしい。
PSさんが普通に座席に座っているところで、普通にすりぬけることもできないYBさんの手がPSさんに炸裂。
「なんやねんYB!」
PSさんはいつも一人でしているプロレス技のようなものをYBさんにかけるそぶりをした。
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