9. ショウづくり|ショウタイトル沼にハマってみた
Moromi Works™️
1|タイトルは何のために?
「タイトル」には何の目的があるんだろう?
・名前の代わり
・愛着が湧く etc…
いろいろな理由が考えられる。
タイトルの存在理由を知るために、逆から考えてみよう。
もしタイトルがなかったらどうなるだろう?
①どこの(チーム)/いつの/ショウかわからなくなる
②どんな内容のショウか、事前にわからない
③どんなショウをするのか、予想できない/しにくい
ということが起きるだろう。
(本稿では3つに止める)
どうやらショウタイトルは、
①名前のような役割をしている
②内容を、事前(鑑賞前)に知らせている
③ショウテーマを伝えるヒント(フック)を与える
といった役割を担っているようだ。
①名前のような役割
名前を聞くと「どこの/誰/どんな人」というイメージが、パッと浮かぶだろう。
実は"名前" には、さまざまな情報が紐づいている。
ショウタイトルは、そのショウの "名前" の役割を果たす。
ショウタイトルがあることによって、簡単に「いつ、どこの、どのようなショウ」が共有できるようになる。
②どんな内容かを、事前(見る前)に知らせている
ショウタイトルには、「ショウテーマ(内容)」が付けられることが多い。
テーマ(内容)がそのままタイトルになることによって、
・事前のショウイメージ
・抱いたイメージがどのように展開されるのか?という期待
・事前情報をもった上で鑑賞できる安心感
を提供できるできる。
どのような内容のショウなのかをタイトルを通して知らせることによって、ショウについて一定の情報をもった状態で観てもらえることができる。
例1:2013 CarolinaCrown / E=mc²
アルベルト・アインシュタインによって展開された物理学の理論体系「相対性理論」をテーマにしたのだろうということが、数式をみたときにパッと想起される。
実際にフラッグに印刷された数字や数式、何度か現れる「E=mc2」によって、納得感をもって観終えることができる。
③ショウテーマのヒント(フック)を与える
端的に言えば、タイトルはショウの内容を伝える役割をしている。
しかし、内容をそのままタイトルにしては面白くない!と考える人もいる。
多くの場合は直接的な表現を避けて、「メタファー(比喩)」をタイトルに用いる。
小説などがよい例だ。
「わたしは灰猫」(青山繁晴)
「火花」(又吉直樹) etc…
この場合、タイトルは "ショウをみるヒント(フック)"の役割を果たす。
・内容を理解するガイド
・ショウを観るヒント
・内容の俯瞰イメージ
など。
タイトルを敢えて「ハズす」ことによって
・鑑賞後に内容を理解する楽しさ
・視点をもって鑑賞する楽しさ
・タイトルの意味を考える楽しさ
など "鑑賞後も長い時間をかけてショウを味わう楽しさ" がつくれる。
例2:2006名古屋女子中高マーチングバンド / Sense -尊-
ショウテーマは「神々の宴」である。
冒頭のシーンは神話「天の岩戸」のイメージ。
日本には古来より "八百万の神" が身の回りに存在しているという感覚がある。"この感覚" をテーマに創られたショウである。
敢えてタイトルをハズしたのは、「Sense」とすることでショウテーマの世界を感じて欲しいと考えたためだ。
また、サブタイトルの 「-尊-」は 神の呼び名の下につける敬称である。
・神=日本の神
・和物のショウ
ということを事前に特定しておくために、ギリギリまで情報を削った「尊」という漢字一文字を添えた。
2|ショウタイトルは面白い
本稿では、「ショウタイトルの役割」という観点で記した。
ショウタイトルは沼だ。
考え方や捉え方によって、さまざまな付け方や理解の仕方がある。
ここに示した以外にも幾万もの楽しみ方がある。
いろいろな楽しみ方があってこそ良い。
さまざまなコダワリがギュッと詰まったショウタイトル。
ぜひ、ショウタイトルの世界も一緒に楽しんで欲しい。
あなたなら、どのようなショウタイトルをつけますか?
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[Moromi Works™️]
Show Design and Coordinate / Music Arrangement / Drill Design
Rehearsal Design / Marching Consultant
沖縄県出身 / 東京在住
好きな食べもの:沖縄そば / タコライス
Blue Devilsに所属
多数の団体にショウ制作や指導を提供
- 一般社団法人日本マーチングバンド協会公認指導員
- DCJ 公認ジャッジ
Mail:moromi.works@gmail.com
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