しつこいですか
「お弁当の注文が11個はいっていたもんで…」
年の瀬の「てんや」にて…
てんやというのは、全国に150店舗近く展開する天丼のチェーン店
ファミレスのロイヤルホストと同じグループにいるが、かつて大手商社の丸紅の子会社が運営していたことを知っている人はどのくらいいるだろうか?
ちょっと経済っぽい情報から入ると、意識高めブログなのかな?と勘違いする方もいるかな、、、いないか
1年ぶりくらいの投稿なので、初めて読んで下さる方に申し上げると
このブログは日常のどうでもいい気づきを突いてみる、ただの暇つぶしエッセイなので、ご注意を
で、てんやに入るとテーブル席は満席 自分が一人客だったせいもありカウンター席に案内された
カウンター内の店員さんに「天丼」を注文すると、「はい、一丁お願いします」と厨房にオーダーが入る
カウンター席には先客が4人ほど 自分の左側に1人 右側には一席ずつ空けて3人が座って丼ものを掻き込んでいた
すぐに出て来るだろうと待っていると、なんだか違和感を覚えた
違和感の元は、3人の店員さんのうち1人の動きだ
仮に名前をS口さんとしておこう
S口さんはてきぱきと動いているように見えるのだが、肩に力が入っているように見える
すると、一人の男性客が入って来た
別の店員さん、O川さんがカウンター右端の席に案内して注文をとっていた
自分が注文してから7分が過ぎていた
厨房から「〇〇番、大盛一丁」の声
S口さんが天丼ののったトレーを持つと、カウンター右端の男性客のもとに運んだ
男性客は、ちょっと前に座ったばかりだ
「違います、これじゃないです」
運んだものが違うようでS口さんがオロオロし始めた
が、男性が注文してから1分も経っていない
いくらなんでも天丼がすぐ出てくるか?
1分以内で出て来るのは、吉野家が松屋くらいだろう
かつて焼き牛丼で名を馳せた東京チカラめしは、出てくるまでだいたい1分30秒くらいだったな
そんなことより「注文がすぐ出てくる店」といえば、お笑いコンビのバイきんぐの「居酒屋」というコントを思い出した
客の小峠さんが注文すると、間髪入れずに出て来るので、最初は喜んでいるが焼き鳥まですぐに出て来るので「焼いたのかよ?」とツッコむ
520万回再生されているので御覧になったことある方もいるのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=cfwZ7U0i1e0
ところでこちらカウンター右端の男性客が注文したのは具材全部載せの「オールスター」だったが、出てきたのがノーマル天丼だったので「違います」と反応… それより、すぐ出てきたことに突っ込んで欲しかった
S口さんはキョロキョロしながら、カウンター席で目の前に何もない私に気づいてようやく運んできた
と、S口さんの名札にある「派遣アルバイト」の文字が見えた
左側には黄色い小動物のロゴと共に「Timee」
「Timee」とは2017年当時、立教大学の学生だった小川嶺代表が前身となる企業を創業 翌年に始めた数時間単位で働ける「スポットワーク」の仲介サービスのこと
登録者は履歴書を提出する手間が不要で、飲食店や物流などの求人に手軽に応募できるのが特徴だ
S口さんはスポットワーカーだった
「そっか、スポットで入るとこんな感じになるのか…」
ちょうど去年の今頃、副業OKというある会社で社員の方がタイミーに登録していて、「登録してみませんか」と誘われた
クリスマス前だったので、クリスマスイブのケーキ販売のアルバイトを見つけ応募してみようと思い立った
応募にはまず身元の登録が必要なため、一旦帰宅して免許証をスキャンするなど手続き
あらためてさっき見つけたケーキ販売のアルバイトを探したらすでに募集定員に達していて応募できなかった、ということがあった
すごいなスポットワーク人気
実はスポットワーク市場は右肩上がりだ
タイミーをはじめ、スポットワーク仲介大手に登録している人の合計は
24年5月現在で1700万人
タイミーは7月26日に東京グロース市場で上場を果たしている
日本では、飲食はもちろんあらゆる業種で人材不足が深刻化している
身近だとコンビニ店員の外国人化は顕著だ
外国人だから心配ということは無い。今はしっかりトレーニングを積んでから店頭に出ているので、細かいサービスにも対応してくれる
実は店員が外国人だと、店にとって意外なメリットもある
あるコンビニで日本人スタッフが外国人の名前の名札を付け、片言の日本語で外国人留学生のふりをして接客していたところ、客からの過度な要求が減ったという
店員が日本人だと過度な「おもてなし」を求めてくることもあるが、
外国人店員だと「期待値が下がる」ことで、要求レベルが低くなることもある
また、人間は相手を自分と似た属性を持つ「内集団」と異なる属性の「外集団」に分けて認識する傾向があるため、外国人店員を「外集団」とみなし、基準を緩和する自己カテゴリー化が働くこともある
以前、原宿のコンビニでコーヒーを2つ買おうとレジで注文したときのこと
外国人店員がカップ2つとテイクアウト用のトレーを丁寧に渡してコーヒーマシンのある場所を教えてくれた
が、代金を請求しないため思わず「おかねを、もらってください」とゆっくり伝えた
すると、別の外国人の店員が駆け寄ってきて「すいません」と謝り、カップを渡した店員に外国語で注意していた
以来、レジが外国人店員だとオペレーションが適切かどうか ついついて自分がバイトリーダーになったような気分で見守るようになった
今年はよくチケットの発券でコンビニを利用したが夜間外国人店員が受領証にサインさせるのを忘れることがあった
その場合、店舗控えのレシートを指して「ここに、サインを、もらってください」とゆっくり伝えた
やりとりがきっかけで、どこの国から来たのか、どこで日本語を学んだのか、などたわいもない会話をすることができた
で、コンビニからてんやに戻ると、天丼をいただく間、カンターの中、ちょうど目の前に見えるモニターが気になった
注文情報が表示されているタッチパネルだ 席番と注文内容、そして注文を受けてからの時間が表示されている スポットワーカーでも扱いやすいインターフェイスだ
自分の注文では7分を過ぎたところで時間表示が赤く変わったのが気になった
会計時にレジのO川さんに訊いたところ
「うちは7分以内で出すようにと指導されているんですよぉ、すいませんお持ち帰りのお弁当が11個入っていたので遅くなってしまって」と教えてくれた
普段なら長く感じる7分でも、年の瀬で時間に余裕があるせいか7分も待ったかなぁという感じで、むしろ時間に余裕があるという「贅沢」を味わえた
ところで「天丼」と言えば、お笑いの世界では同じボケを繰り返すことで笑いを取る手法を「てんどん」と呼ぶ
由来には諸説あって、ごはんの上に天ぷらが「重なっている」状態、「何度も重ねる」にまつわる説
同じボケを繰り返す「しつこさ」が天ぷらとタレの繰り返しに通じるという説
かつて寄席で同じネタを繰り返すことを「油がのる」と例えたことから「天ぷら」「天丼」に転じたという説も
そういえば、伝説のバラエティ番組「元気が出るテレビ」で、高田純次さんがどっきりを仕掛けた相手に何度も同じことを繰り返す「しつこい高田」というコーナーがあったな
日本のお笑いでは「しつこさ」そのものを面白がる文化もあるんだな
しつこさは、時に「クセ」になる
情報が溢れる現代ではどうすれば思い出してもらえるかが勝負
これからは ほどほどの「しつこい」がカギかもしれないな