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初めてのコーヒー


何事にも挑戦すると経験しておけば作曲の糧になると思い、私はコーヒーを飲んだ。


 私は、コーヒーを飲んでいる人間はかっこつけている人間と思っていた。
 なぜ人はあんなに黒くて苦いものを好んで飲んでいるのか不思議で仕方なかった。
 眠いならエナジードリンクでいいと思っていたし、実際そうしていた。
 しかし、その概念が最近覆された。


 私は、短期大学に今年の4月に入学する。
 その前に何かを経験したいと思い、今まで読んでいなかった小説を手に取り読んでみたり、基本引きこもりだったが散歩したりと今年始まって、3カ月だが色々自分なりに行動をした。


 2月28日 只々のごく普通の平日
 ふとコーヒーを克服してみたいと思った。
 ふと克服したいと思うことは日常生活で思わないはずなのになぜか克服したいという気持ちが強かった。
 嫌いなものは嫌いのままで過ごしても何も生活に困らないし、ほかにも美味しいものなんて世の中にいくらでもあるのに。

 その衝動は、抑えられず、とりあえず近くのカフェを調べた。
 チェーン店は、人が多いため、個人でお店を出されているカフェを調べた。
 ROOT COFFEEというお店がとてもおしゃれでお店の画像が自分が大学入試で作曲した音楽のイメージにとてもあっていてそこを選んだ。

 入店するとお店には何人かお客さんがいて、とても落ち着いて店主さんが


「飲んで行かれますか?」


 と、聞いたので私は「はい」と答え、先に注文スタイルのようで、私は「初めてコーヒーを飲んでみたいのですが飲みやすいコーヒーはありますか?」と聞くと、店主さんは、「こちらの2つは飲みやすいですが酸味は大丈夫ですか?」と優しく聞いてくれたので、「大丈夫です。」と答え、コーヒーのホットを注文し、最初にコーヒーだけはハードルが高いので事前に調べたティラミスも一緒に注文をした。

 奥の席に案内され、座ると、穏やかでとても綺麗で素敵な空間だった。
 まだ比較的寒い日でもチェーン店ならお冷を出すところが多いだろうが、やはり個人でやってらっしゃるお店、お湯が出てきたのだ。
 さりげない気遣いで感動した。

 少し待つとコーヒーとティラミスが出てきた。


今から私はこの黒くて苦い飲み物を飲むと決め、コーヒーカップを手に取り、口をつけるとくそ熱だった


 それはそうだ、私はホットを頼んだのだから。
 店主さんが丁寧に入れてくれたのだから。

 猫舌の私はふーふーと少し熱を冷ましまたコーヒーカップに口をつける。
 やはり熱いが先ほどよりは飲める。


苦くない


 なんと今まで苦いと潜在意識の中で思っていた砂糖もミルクも何もないブラックのコーヒーが苦くないのだ。
 むしろ美味しいのだ。

 驚いたのでもう一度確かめるためにお湯で一度無くしてから再び飲んでも結果は変わらず美味しいままなのだ。


私は21歳になる前にようやく大人の気分になった。


 たとえ、20歳になってタバコを吸ったり、お酒を飲んだり、20歳らしいことをしてみたが、何ひとつ大した気分にならなかった。
 物事の本質はコーヒーにあったのだ。
 新しい挑戦することも大事だし、身近にある物事を超えることも大事と私はこのコーヒーから学んだ。

 コーヒーを克服した私は、一緒に注文をしたティラミスをスプーンですくい口に運んだ。
 甘さ控えめだがとても濃厚で克服したコーヒーにとても合うのだ。
 今日のうれしさを噛みしめながらゆっくりとコーヒーを飲み、ティラミスを一口、またコーヒーを飲み、ティラミスを一口とあっという間になくなってしまった。

 コーヒーを飲んでいる間に店内では、店主さんとお客さんが話したり、絵本や本が入っている袋が置いてあって、店主さんと話しているお客さんの隣で幼稚園生ぐらいの子が読んでいたり、またお客さんが帰る際に、感想を聞いて、幼稚園生の子や、ベビーカーに乗っている赤ちゃんにバイバイと手を振っていてとても素敵だった。

絵本や本が入っている袋

 自分が帰る際にも店主さんは「どうでしたか?」と聞いてくださり、「とてもおいしかったです。」と素直な感想を返すと「よかったです。」といって少し話をして「家が近いのでまた来ます」と言葉を残し私は家に帰った。
 コーヒーが飲めない人にもお勧めしたい場所だ。
 もし大阪に来られる予定がある人はぜひ行ってみてほしい。


https://www.instagram.com/root_coffee2018/?hl=ja




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