Crystal Snow #2

「それにしてもっ！」
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家に帰り
部屋着に着替える私の後ろ姿を見て
夫が唐突に話し出した。
「ママも老けてきたねぇ〜、この後ろ姿っ！腰回りが若くないっ！」
ニヤニヤしながらこっちを見てくる。
『そりゃあ、出会ってからもう6年も経つんだから当たり前でしょ！』
少しムカっとしながら言い返すと
夫は「ジョーダンジョーダン！怒らないの〜！シワ増えるぞ〜！」と笑いながら
寝室を出ていった。
『うるさい、ビールっ腹オヤジ〜！』
楽しそうに肩を揺らしながら歩く背中に向かって
とりあえず
思いついた文句を投げつけた。
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もう6年
夫とはずっとこんなふうで。
好きな事を言い合う分
喧嘩もするし
たまに嫌いなところもあるけれど
夫には感謝している。
シングルマザーだった私と
まだ幼かった娘を
この人は深い愛情で包んで
家族として受け入れてくれた。
夫は
傷ついた私に
笑顔を...幸せを...
たくさん与えてくれた人。
病める時も健やかなる時も
この人とずっと歩んでいく。
その為にも尚更
私は過去と決別しなければならない。
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そんな私の決意を揺るがすかのように
テレビやスマホのニュース
SNSに登場して
視界に入らない日がない程
ジンくんは、人気アーティストになった。
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画像や動画を目にするたび
否応なしに胸が熱くなるから
慌てて目を逸らす。
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ジンくんは
芸能人で
遠い、遠い世界の人──
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私が知ってるキム・ソクジンは
思い出は
忘れなくちゃいけない。
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忘れられる。
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大丈夫。
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もう
10年も経ったんだから。
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