Crystal Snow #4
「お前が行け」
『え、ヤダよ、ハルが行って』
「いいからお前行けって」
私とハルは
ソウル市内のとあるカフェの前で揉めていた。
会社で
新しいデザインパターンを出す際に
マネキンや人形に着せた服ではなく
きちんと人に着てもらって
シルエットの美しさを見てもらいたくて
モデルになってくれる人を探していたのだ。
『ヤダっつーの。ハル行ってよー!』
「お前...アホなの?男の俺が話しかけたら、怪しまれて会話にならねーだろ」
私達が目をつけたのは
ハルと私が住む寮のそばのカフェ店員で
スタイルがよく
身のこなしがスマートで
何より
驚くほど綺麗な顔をした....青年。
本当は女性モデルに
プリーツやドレープが美しいドレスを着て欲しかったのだけど
あまりのイケメンっぷりに
私もハルも
彼以外のモデルを探そうとしなかった。
『いや、まぁ、そうだけど。』
「だろ?お前が行け」
『えー、恥ずかしいから!』
どちらが声をかけるかで
カフェの入り口で延々揉める私達の後ろのドアが
スッと開く。
「イラッシャイマセ」
振り返ると
そこにいたのは
私達がスカウトしたかった青年ご本人で
透き通るような白い肌に
優しい笑みを浮かべて立っている。
ずっとガラス越しに見ていたその姿は
間近で見ると
鳥肌が立つような美しさで
私もハルも
ただただ、見つめてしまった。
彼は困ったように眉尻を下げて
「ハイリマスカ?」と、問いかける。
すぐさま
私より先に我に返ったハルが
「2人」と告げて店内に歩き出した。
私もハッとして慌てて後を追い
ハルに促されるまま、空いている席へ。
すぐに
目的の彼がオーダーをとりに来たので
私は思い切って声をかけた。
『あの!』
言いながら見上げると
少し腰をかがめた彼と至近距離で目があう。
ビックリして軽くパニックになった私は
脈略もない言葉を発してしまった。
『日本語!上手ですねッッッ!!』
うわずった高い声が出てしまい
恥ずかしくなって目線をハルに移すと
下を向いて肩を振るわせている。
そんなに耳まで赤くして笑わなくても...
「スコシ...スコシ、ニホンゴノベンキョウシテマス」
そう答える彼は
長い文章を話すのはまだ苦手らしく
僅かに躊躇うように言葉を選んだ。
なんだかその姿が可愛らしくて
さっきまでの恥ずかしさが薄れた私は
リラックスして話ができるようになった。
『実は...私は、こういう者です』
カバンから名刺を取り出して彼に渡す。
『モデルを探しています。あなたに、やってもらいたいんです』
彼が聞き取れるよう
ゆっくりと言葉をつなげた。
すると
彼は再び
眉尻を下げて困った顔になる。
「ジムショニキカナイト...」
その返答に
私とハルは目を見合わせた。
「やっちまったな。」
『そりゃあそうか、こんなイケメンが素人なわけないよね。』
「浮かれすぎて何も考えてなかった」
無言で
目線だけで会話。
私達3人の間に
気まずい空気が流れる────
ハルが薄ら寒い空気を破った。
「じゃあ...モデルはやらなくていいから、友達になってよ」
つまり
私は
自分の彼氏が男をナンパするのを
間近で目撃したわけだ。
想像もしていなかった展開に私は目を丸くして
彼とハルを交互に見る。
ものすごい勢いで。
後から聞いた所によると
私のその仕草があまりにも面白かったから
是非、仲良くなりたいと思ったらしい。
その話を彼から聞いた私は
『あぁ、そうだろうねぇ』と苦笑いするしかなかった。
だってあの時の彼は
吹き出しそうなのを必死に堪え
少し広めの肩を揺らしながら
『"キム・ソクジン"デス、ヨロシク』って言っていたから。
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