#30 呪文?トリスカイデカフォビア。/コトノハーバリウム
ヒトという動物は、吉凶に左右されすぎているようにも思える。
朝のニュース番組といえば、どの局でも占いに類するものを放送するイメージがある。私は結果が良い時は信じ、悪い時は信じないという都合の良い見方をしている。バーナム効果×プラシーボ効果である。
今日紹介するコトノハは、ギリシャ語由来の言葉、「トリスカイデカフォビア」(Triskaidecaphobia)である。「Tris」が3、「Kai」がアンド、「Deca」が10、「Phobia」が〜恐怖症の意で、「13恐怖症」という意味を表す。
怖さを感じる対象というのはヒトそれぞれ個性が出る部分だが、「13」が忌み嫌われているというのは結構広い範囲で知られていることではないだろうか。
ただ、なぜ13が嫌われているのかというのは諸説あるようである。
1.「未知数」説
正直イマイチわからない。昔の人は手で数えられる数字(5とか10)を基準に数を数えていた。その延長線上で、片手の12個の指関節(なお親指は除く)を一周数えるたびに反対の手の指を一本ずつ折ることで60を数えることができる。そこで12進数、60進数が誕生した、らしい。
大まかには、13という数を数えるとなると12+1になってしまうため中途半端で嫌だったのではないか、という説である。いや13の場合だけは親指の関節使えや。14、15はどうして嫌じゃなかったのか。合成数だからか?
2.「非調和な数」説
まあわからないではない。昔から人類は60進数を使ってきた(そこが大前提として与えられるのは不思議だが、事実ゆえ仕方ない)。そんな世界では、60の約数である12は非常に便利だった。しかしそれより一つ多い13は調和を乱すとされた、という説。
3.「宗教的要因」説
やはりこれが一番しっくりくる。が、結構有名な「キリストの13人目の弟子がキリストを殺した説」は確定嘘らしい。というのも、聖書には12人の弟子と明記されているようだし、最後の晩餐にはキリストの他は12人しか描かれていない。
本命は「北欧神話が由来説」である。12人の神々が祝宴を開催しているときに、13人目の客としてロキが乱入、バルドル(光の神)を殺し、後のラグナロク(北欧神話における最終戦争・人類の終末)を引き起こすこととなってしまったとされている。北欧神話がキリスト教に影響を与えたという説である。
日本でも嫌われているが、西洋では13というのはかなり幅の広いところで避けられる。
例えばアパートの部屋番号や、飛行機の座席番号、空港のゲートにおいて13を飛ばした表記をする。建物では13階を12の一つ上などと呼び、高層ビルの場合は機械室に当てられることも多い。調べた中で印象的だったのは、13個のドットで構成されたベルギーのブリュッセル航空のロゴマークを顧客の要望で14個に変更したというものである。
ということで今日は「トリスカイフォビア」について紹介した。13日の金曜日や、ゴルゴ13 、ホーンテッドマンションなど13を活用して不気味さを演出するものもあるし、なんだったら中国の一部地域では13を吉数とする文化すらあるようなので、13だからといって実際に事故・事件が起きやすいわけではないだろう。
ちなみに私は饅頭と熱いお茶が嫌いである。ではまた。
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