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2023年はエルニーニョで農業生産に影響か
国連食糧農業機関(FAO)は2023年4月27日、同年6月にエルニーニョ現象が発生するとの予測(1)(2)を発表しました。この結果、アフリカ南部や中米、アジアなどが乾燥に見舞われ、農業生産に大きな影響が出る可能性があるとして、農業関係者に警戒を強めるよう呼び掛けています。エルニーニョとラニーニャは数年ごとに発生するので、ある程度予想されていたことではありますが、今年の農業生産の攪乱要因となりそうです。
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日本の気象庁の説明によると、エルニーニョ現象は、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米にかけて海面水温が平年より高くなる現象です。反対に、同じ海域で海面水温が平年より低くなるのがラニーニャ現象で、それぞれ数年おきに発生します。乾燥や洪水など世界中で異常気象の要因になっていると考えられています。
FAOによると、2023年3月までの3年間はラニーニャ現象が発生し、米国や南米、アフリカ東部の乾燥を促し、オーストラリアの多雨の要因となりました。2023年6月にエルニーニョ現象が発生し、乾燥や洪水のパターンが反対になると予測されています。具体的には、米国やアルゼンチン、アフリカ東部といった乾燥していた地域では雨が多く降るとみられています。日本では、本州以南で11月から来年2月にかけて多雨が予想されています。
反対に、南アフリカなどアフリカの南部や西部、インド、東南アジア、オーストラリア、中米、ブラジルなど南米の北部といった地域では乾燥に悩まされる可能性が強いと分析しています。穀物の主要生産・輸出国であるオーストラリアやブラジル、南アフリカで乾燥が予想されているため、世界の需給に大きな影響を及ぼす可能性があります。
前回エルニーニョが発生した2015~16年には、23カ国で6000万人以上が影響を受けました。エルニーニョが発生すると、世界の平均気温が上昇することが多く、2016年にはインドネシアの山火事や、乾燥によるアマゾンの森林の衰退といった被害も出ました。
乾燥、多雨のどちらでも、食料安全保障にとって大きな脅威になる恐れがあるとして、事前に対策を講じるようFAOは呼び掛けています。乾燥が予想される地域では、乾燥耐性品種の作付けや灌漑施設の整備、ワクチン接種を含めた家畜の健康管理の強化などを推奨しています。多雨が予想される地域では、洪水予報が出た際には早めに作物を収穫するほか、作物の貯蔵施設の十分な確保や、家畜の避難経路の準備などを挙げています。