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ふわふわ会計 ④会計の前提(2)


会計の基本的前提

今回は、会計の前提について確認をしていきたいと思います。
会計を行っていく上では、基本的前提が3つあります。
基本的な前提を、一般的に会計公準と呼びます。
会計基準とよく似ていますが、「基準」ではなく「公準」になります。
公準の言葉の意味を確認しておきましょう。

デジタル大辞泉の公準の意味からも、会計公準とは会計の理論として、基本的な前提を意味することになりますね。

会計公準には3つの公準があります。

  1. 企業実体の公準

  2. 継続企業の公準

  3. 貨幣的評価の公準

既に会計を学んでおられる方には大変有名な公準です。
会計公準について検索すると解説ページが山のように出てきますので、ご存じの方も多いと思います。

基本的な前提は、無意識の中にある

3つの会計公準は、会計業務を行う際の基本的前提になります。
前提は、常に意識しているというより、普段はあたり前の感覚として捉えており、意識することが少ない印象があります。
しかし、この普段無意識であることを、いったん意識してみることで会計の理解が深まると考えました。

今回のテーマ

今回は、3つの会計公準のうち、継続企業の公準について確認をしていきます。
ふわふわ会計では、会計を初めて学ぶ方へ、継続企業の公準について簡単に説明しながら、仕事などでおさえておきたい継続企業の公準の本質的な部分を確認していきたいと考えています。

継続企業の公準とは、企業の経済活動は半永久的に継続される。企業は解散されることはないという前提です。 

自分が所属している組織が企業以外の場合、例えば、社会福祉法人に所属している場合には、

継続企業の公準⇨継続事業の公準

と読み替えて考えていきましょう。

組織がなくなることはなく、半永久的に活動をおこなっていくという前提になります。会計は、企業が半永久的に活動を行うという前提に立って処理が行われていくことになります。

ここから、継続企業の公準について例を挙げながら、説明していきます。

ポイント

ポイントになるのは、企業が半永久的に存続する点です。
企業や組織で働いていると、企業がなくなることを想像しないことは自然なことかもしれません。
会計も、企業がなくなることはないという想定の中で行っていきます。

企業がなくならないとなるとどのような考え方が生まれてくるでしょうか。

株主は、企業(株式会社)に出資し、企業が獲得した利益(剰余金)から配当を受けます。
自分が株主であれば、定期的に配当を受けたいですね。

プロジェクトへの出資の場合

ここで、企業ではなく、プロジェクトへの出資を考えてみます。

例えば、企業ではなくあるプロジェクトに出資して、プロジェクトで獲得した利益から出資者は配当を受けることを想像してみます。

イベントを企画し、運営収入を得るプロジェクトを想像してみましょう。

企画から、開催準備、宣伝、イベントの開催、精算事務というプロジェクトの流れとします。
このプロジェクトは、半永久的に継続するものではなく、1回限りの期限のあるものになります。

まず、企画の時点で、出資者から出資を募ってお金を集めます。
集めたお金で開催に伴う費用を賄います。そして開催による収入から精算のための支払いを差し引いた剰余金は、出資者へ配当として分配していきます。

剰余金を分配するための会計報告は、プロジェクトの最後(イベント終了後)に行うことになります。

プロジェクト立上げ → イベント企画 → 出資募集・受入 → 開催準備 → 開催 → 各種支払 → 精算・会計報告 →出資者へ配当 → プロジェクト終了

プロジェクトをイメージする場合には、クラウドファンディングや映画の製作委員会を想像してもわかりやすいかもしれません。

株式会社(企業)の株式を取得した場合

それでは、株式会社の株式を取得(出資)して、株主になる場合の配当の受取について考えてみましょう。

株式会社でも、プロジェクトと同じように、対外的な事業活動によって利益を獲得し、出資者である株主は、会社の利益(剰余金)から配当を受けることができます。

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