石ころ帽とヒゲダン
もっと違う設定で もっと違う関係で
出会える世界線 選べたらよかった
いたって純な心で 叶った恋を抱きしめて
「好きだ」とか無責任に言えたらいいな
そう願っても 虚しいのさ
クルド人難民の家族。
日本で、日本人と同じように生活をすることができない現実。
なんで。
なんでなん。
「しょうがなくないよ!」
ってソウタと同じように叫びたい。
全然しょうがなくない。
しょうがなくないのに…
日本の石、クルドの石、サーリャが生まれた時にお父さんが選んでくれた石、ロビンが夜まで集めた石、ソウタが上手に水切りした石、サーリャの下手くそに水切りした石。
形も手触りも全然違う、1つとして同じものがない石ころ。
その石ころがクルドのものか、日本のものかなんて、誰もわからないし、気にしない。
ドラえもんの石ころ帽は、その帽子を被ればその人は石ころみたいに誰にも気に留められない存在になれるアイテム。
そんな石ころがこの映画では、とても重要な存在として登場する。
見えないことを、知らないことを、そのままにしないで。
そう言って、ひんやりと冷たい石を掌にのせられて、ぎゅううううと握ったような気持ち。
広く、広く届きますように。
ソウタとサーリャの赤い掌が国境も県境も超えて、いつもいつまでも握りあえる関係でいれますように。
ヒゲダンの大名曲が聴けるタイミングがめちゃくちゃに皮肉で、余計に沁みた。
好きだとか無責任に言えたらいいな