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ベンチのある風景

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感じのいいまちには、必ず素敵なベンチがあります。ヨーロッパ各国で見つけた「ベンチのあるまち」を写真とともに紹介していきます。
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#ベンチ

自由に動かせる公共の椅子。パリの公園とカンヌの遊歩道にて

フランスのまちで、動かせるベンチを何度か見た。ベンチというより椅子といった方が正しいかもしれない。風に飛ばされないくらいの重さはあるが、持ち運べるくらいには軽い。それを自由に動かして、好きな場所、好きな方向に置いて座る。 使い終わったら、どこかに戻す必要はない。そのままにして後にする。そうして誰かが置き去った椅子を、次にやってきた人が移動したりしなかったりしてまた座る。 椅子の置き場をカスタマイズできるっていい。そのときどきの日差しや風向き、自分の気分などに沿って位置や角

10代の青春には、語り合えるベンチが必要だ

前回紹介したまちニームは歴史が古く、ローマ時代の円形闘技場や神殿がいまでも町中に残っている。 「メゾン・カレ」という世界遺産にも登録されている神殿。よく見ると腰かけている人がちらほら。 上に登ってもこの通り、いくつかのグループが座り込んで話し込んでいて、どうやらこの世界遺産は、たむろす場所になっているよう。 お菓子を食べながらおしゃべりに興じる10代と思われる女子たち。こういう時間、私も若い頃に過ごしてたなぁ。 好きな子のこと、友達との関係、将来の夢、家族の悩み・・・話

フランス・ニーム駅前の並木道には、ベンチとテーブル

フランス南部に位置する人口14万人ほどのまち、ニーム。 ここはデニムの発祥地で、デニムという名前はフランス語で「ニーム産」を意味する「de Nîmes(デ・ニーム)」が由来。 「ニーム駅」は、TGVという日本でいう新幹線のような高速列車が停まるため、人の行き来が盛ん。このニーム駅からまっすぐに伸びる大きな並木道「Av. Feuchères(フュシェール通り)」のベンチがいい。 通りは320mほど。片側に水路がありベンチやテーブルが並ぶ。 両サイドが花壇になっており、水路の

誰もが解放されるニースの海岸線

南仏の地中海沿いには「紺碧の海岸」という意味の「コートダジュール(Côte d'Azur)」と呼ばれる一帯があり、その海の美しさや温暖な気候、明るい雰囲気に惹かれ、世界中から観光客が訪れる。 コートダジュールを代表するまちが、ニース。ピカソやマティスなど20世紀の芸術家たちが、創作の地として選んだまちでもある。 ニースの名所と言えば、「プロムナード・デ・ザングレ(イギリス人の遊歩道)」という海岸線。18世紀後半にイギリス人がニースで冬を過ごすようになり、この遊歩道の計画を