Mao Yoshida

ライター・編集者。編プロを経てフリーランス13年目。書籍やWeb、雑誌、広報誌で執筆しています。最近は旅、まちづくり、占い、暮らし、民藝など。noteはアーカイブや個人メモ用に。

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ライター・編集者。編プロを経てフリーランス13年目。書籍やWeb、雑誌、広報誌で執筆しています。最近は旅、まちづくり、占い、暮らし、民藝など。noteはアーカイブや個人メモ用に。

マガジン

  • ベンチのある風景

    感じのいいまちには、必ず素敵なベンチがあります。ヨーロッパ各国で見つけた「ベンチのあるまち」を写真で紹介していきます。

  • 南仏プロヴァンスの旅

    2020年6月から2021年11月まで、南仏プロヴァンスに住んでいたときの旅ブログ。 オンラインサロン「Like! Provence」にて連載。

最近の記事

自由に動かせる椅子で、“自分の場所”を。 パリの公園とカンヌの遊歩道

フランスのまちで、動かせるベンチを何度か見た。ベンチというより椅子といった方が正しいかもしれない。風に飛ばされないくらいの重さはあるが、持ち運べるくらいには軽い。それを自由に動かして、好きな場所、好きな方向に置いて座る。 使い終わったら、どこかに戻す必要はない。そのままにして後にする。そうして誰かが置き去った椅子を、次にやってきた人が移動したりしなかったりしてまた座る。 椅子の置き場をカスタマイズできるっていい。そのときどきの日差しや風向き、自分の気分などに沿って位置や角

    • 見晴らしのいいベンチ/木漏れ日の落ちるベンチ

      どこに置くかが大事 日々ベンチの写真を撮っていて思うのは、「置けばいい」というものではなさそう、ということ。例えば、車ばビュンビュン通っているそばにベンチがあっても、怖くてあまり座りたくない。 「いいな」と思うベンチは、ちょうど座りたくなるような場所に置いてある。 それに気づいたのは、チーズが有名なフランスのロックフォールを旅していたときのこと。山間の小さな村で、道を間違えて舗装されていない山道に入りこんでしまったら、ふいにベンチが現れた。 こんな人気のない場所に誰が

      • 10代の青春には、語り合える場所が必要だ 「ベンチのあるまち」フランス編③

        前回紹介したまちニームは歴史が古く、ローマ時代の円形闘技場や神殿がいまでも町中に残っている。 「メゾン・カレ」という世界遺産にも登録されている神殿。よく見ると腰かけている人がちらほら。 上に登ってもこの通り、いくつかのグループが座り込んで話し込んでいて、どうやらこの世界遺産は、たむろす場所になっているよう。 お菓子を食べながらおしゃべりに興じる10代と思われる女子たち。こういう時間、私も若い頃に過ごしてたなぁ。 好きな子のこと、友達との関係、将来の夢、家族の悩み・・・話

        • ニーム駅前の並木道にはベンチとテーブル 「ベンチのあるまち」フランス編②

          フランス南部に位置する人口14万人ほどのまち、ニーム。 ここはデニムの発祥地で、デニムという名前はフランス語で「ニーム産」を意味する「de Nîmes(デ・ニーム)」が由来です。 「ニーム駅」は、TGVという日本でいう新幹線のような高速列車が停まるため、人の行き来が盛ん。このニーム駅からまっすぐに伸びる大きな並木道「Av. Feuchères(フュシェール通り)」のベンチがいいんです。 通りは320mほど。片側に水路がありベンチやテーブルが並びます。 両サイドが花壇になっ

        • 自由に動かせる椅子で、“自分の場所”を。 パリの公園とカンヌの遊歩道

        • 見晴らしのいいベンチ/木漏れ日の落ちるベンチ

        • 10代の青春には、語り合える場所が必要だ 「ベンチのあるまち」フランス編③

        • ニーム駅前の並木道にはベンチとテーブル 「ベンチのあるまち」フランス編②

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        • ベンチのある風景
          4本
        • 南仏プロヴァンスの旅
          28本

        記事

          誰もが解放されるニースの海岸線 「ベンチのあるまち」フランス編①

          南仏の地中海沿いには「紺碧の海岸」という意味の「コートダジュール(Côte d'Azur)」と呼ばれる一帯があり、その海の美しさや温暖な気候、明るい雰囲気に惹かれ、世界中から観光客が訪れます。 コートダジュールを代表するまちが、ニースです。ピカソやマティスなど20世紀の芸術家たちが、創作の地にしたまちでもあります。 ニースの名所と言えば、「プロムナード・デ・ザングレ(イギリス人の遊歩道)」という海岸線。18世紀後半にイギリス人がニースで冬を過ごすようになり、この遊歩道の計

          誰もが解放されるニースの海岸線 「ベンチのあるまち」フランス編①

          ワインだけじゃない、シャトーの楽しさ

          前回は、ワインを買いにシャトーへ行きましたが、シャトーはワインづくりだけでなく、レストランやホテルを運営しているところも多く、広大な庭や古い建築を楽しめるので、ただ食事したり泊まったりする以上の体験ができます。 また、野外コンサートなどのイベントを開催することもあります。 シャトーは観光客にとっても地元の人にとっても特別な場所。今回は、ブロヴァンス在住のマダムたちに連れていってもらったシャトーをご紹介します。 18世紀から続くシャトーで、木陰ランチ 18世紀からあるとい

          ワインだけじゃない、シャトーの楽しさ

          プロヴァンスワインを買いに、シャトーへ行こう!

          フランスワインといえば、ほとんどの人はボルドーやブルゴーニュを思い浮かべますが、プロヴァンスも有名なワインの生産地です。車を走らせていると、至るところにぶどう畑やシャトーを見かけます。 実は、プロヴァンスはフランス国内で最も早くブドウ栽培が始まった場所です。紀元前 600 年頃に古代ギリシャ人がブドウを持ち込んで、紀元前200年頃には、定住していたローマ人がブドウを栽培していたと言われています。 プロヴァンスワインといえば、フレッシュなロゼ 現在プロヴァンス地方で生産さ

          プロヴァンスワインを買いに、シャトーへ行こう!

          デニムの発祥地「ニーム」のまちなかはローマ遺跡だらけ

          まちなかにローマ遺跡が点在 ニームは「フランスのローマ」といわれるほど、たくさんのローマ遺跡があります。 古代ローマ時代、前回紹介したポン・デュ・ガ-ルを通り、ユゼスから水を引いていたまちです。 また、ニームは「デニム」生地の発祥地でもあります。 今回は写真を多めに使ってニーム散策の様子を紹介します! TGVも停まるニーム駅を降りると、まっすぐな並木道「Avenue Feuchères」がのびています。道の脇には用水路があり、市民が憩うベンチやテーブルが並んでいます。

          デニムの発祥地「ニーム」のまちなかはローマ遺跡だらけ

          旧石器時代から続く山村「セーニョン」で、特別な岩に登る

          プロヴァンスの山間には、可愛らしい村がいくつもあります。人口1000人程度のセーニョンもそのひとつ。 セーニョンに人が住み始めたのは遥か昔、中期旧石器時代(20万年〜3万5千年前)だとか。ネアンデルタール人とかクロマニヨン人の時代です。外敵から隠れやすい地形だったようです。 天文台になったり、城になったり 村の北側にある高さ約30メートルの岩「Le Rocher de Bellevue」は、「美しい眺めの岩」という意味。天文台として使われたほか、信号を送る場所だっただろ

          旧石器時代から続く山村「セーニョン」で、特別な岩に登る

          2000年前にローマ人が建設した水道橋「ポン・デュ・ガール」

          ニーム近郊オクシタニー地方にあるポン・デュ・ガール(Pont du Gard)は、ガール川にかかる巨大な水道橋です。 この水道橋は、古代ローマ時代の紀元前19年から5年かけて建設されたそうです ※年代については諸説あり。 当時、人口が増えて水不足になったローマの都市ネマウスス(現ニーム)へ、50km離れた水源地ユゼスから水を引くためにつくられた導水路の一部です。 ポン・デュ・ガールは約600年間、飲料水を運ぶために使われていました。 水道橋の上はどうなっているの? ポン

          2000年前にローマ人が建設した水道橋「ポン・デュ・ガール」

          ラベンダー畑へ:③ソーエリア編

          真正ラベンダーとラバンジンひとくちにラベンダーといっても、いくつも種類があるのをご存知ですか? スパイクラベンダーとかイングリッシュラベンダーとか、調べるといろいろあるのですが、プロヴァンスのラベンダーを見に行くにあたって、代表的な2種類「真正ラベンダー」と「ラバンジン」を押さえておくと良いと思います。 一言でいうと真正ラベンダーはラベンダーの原種、ラバンジンが亜種です。 【真正ラベンダー(Lavande fine)】 ラベンダーのなかで最も高品質とされています。標高60

          ラベンダー畑へ:③ソーエリア編

          ラベンダー畑へ:②セナンク修道院エリア編

          「セナンク修道院」は、キリスト教カトリックの「シトー会」の修道院です。 シトー会って何?シトー会は、12世紀にブルゴーニュで設立された修道会で、戒律を厳密に守り、質素な生活を送ることを信条としています。 清貧を貫くシトー会の修道士たちは、その服装も質素で、染色しない白い修道服を着ていることから「白衣の修道士」とも呼ばれています。 彼らは学問と労働を重んじていて、自ら農業を行います。 かつては開墾や農法の普及を行い、ブルゴーニュのワイン作りをはじめ、フランス国内に大きな影

          ラベンダー畑へ:②セナンク修道院エリア編

          ラベンダー畑へ:①ヴァランソル高原エリア編

          「ラベンダー街道」をゆくプロヴァンスの風景といえば、ラベンダー畑を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。 プロヴァンスには広大なラベンダー畑が広がっていて、毎年6月下旬から7月にかけて大地が紫色に染まります。 ラベンダー畑は至るところにあり、それらを巡るルートは「ラベンダー街道」と呼ばれています。ドライブやサイクリングにもってこいです。 ただ、このラベンダー街道は全長1,000km近くと、なかなか制覇できる距離ではありません。 ここでは、ラベンダー街道で通る3つのエリア

          ラベンダー畑へ:①ヴァランソル高原エリア編

          ノストラダムスが予言書を書いたまち「サロン・ド・プロヴァンス」

          ノストラダムスがいたまち サロン・ド・プロヴァンスは、人口4万人ほどのまちで、ノストラダムスがいたことで知られています。 また、空軍基地や空軍士官学校があり、たまたま車で通りがかったときに、アクロバット飛行をしている戦闘機を見たこともありました。 16世紀にはすでにあったという「La Fontaine Moussue」は、見てのとおり「苔むした噴水」という意味。サロン・ド・プロヴァンスの名所のひとつ。日差しの強いプロヴァンスでは、噴水の周りで涼む人をよく見ます。 時計塔

          ノストラダムスが予言書を書いたまち「サロン・ド・プロヴァンス」

          スリルと景勝!「ヴェルドン渓谷」をドライブ

          「ヴェルドン渓谷(gorges de Verdon)」は、188,000ヘクタールの広大な自然が広がる「ヴェルドン地域自然公園」にあります。長さ約25km、深さは最大700mにも及び、谷底にはヴェルドン川が流れています。 ジェットコースターより怖いドライブコースヴェルドン川が流れつく「サント・クロワ湖(Lac de Sainte-Croix)」です。今回は、渓谷を一周して、この湖のほとりに戻ってくるコースをドライブします。 まずは切り立った岩山の間を登っていきます。このコ

          スリルと景勝!「ヴェルドン渓谷」をドライブ

          ヨーロッパで最も美しいビーチがある「ポルクロル島」

          日本人がいない穴場の島 ポルクロル島(Il de Porquerolles)は、<歴史、花、海、ダンス!?「イエール」の盛り沢山な一日>で紹介したイエールから、船で約20分のところにある島です。 イエールにはポルクロル島、ポール・クロ島、ルヴァン島の3つの島があり、ポルクロル島はイエールから最も近くて、大きくて、人気のある島。春から秋にかけてのシーズン中はたくさんの観光客が訪れます。 私は8月に日帰りで行きましたが、日本人はおろか東洋人を一人も見かけませんでした。ヨーロッパ

          ヨーロッパで最も美しいビーチがある「ポルクロル島」