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誰もが解放されるニースの海岸線

南仏の地中海沿いには「紺碧の海岸」という意味の「コートダジュール(Côte d'Azur)」と呼ばれる一帯があり、その海の美しさや温暖な気候、明るい雰囲気に惹かれ、世界中から観光客が訪れる。

コートダジュールを代表するまちが、ニース。ピカソやマティスなど20世紀の芸術家たちが、創作の地として選んだまちでもある。

ニースの名所と言えば、「プロムナード・デ・ザングレ(イギリス人の遊歩道)」という海岸線。18世紀後半にイギリス人がニースで冬を過ごすようになり、この遊歩道の計画をたてたことから、そう名づけられたとか。総距離は約3.5キロ。

マティスは、この海岸線沿いにあるホテルで、多くの絵を描いています。

すぐ側はビーチ。地元の人も観光客も、思い思いに過ごしている。

老若男女、さまざまな肌の色をした人が行き交っている。自転車、ベビーカー、キックボード、スケボー、三輪車など、乗り物もいろいろなものを見かける。多様な人がいるからこそ、よほどのことがなければ、“浮く”心配がない。
例えば、リゾート地によっては、ほとんど白人しかいない場所があって、自分が浮いている気がしてしまうことがある。その点この遊歩道には、アジア系やアフリカ系、インド系などなど多様な人種がいて落ち着く。人種に限らず、「似たような人ばっかいる場所」というのは、私はちょっと苦手なので。

付近にあるコース・コートー・ダジュール国際空港を発着する飛行機を眺める。美しいひととき。

上からみた海岸線。左から浜辺、遊歩道、自転車道、自動車道とならんでいて、遊歩道の幅が自動車道の倍以上あるのがわかる。そのぶん自動車は渋滞しているが、この海岸は車で通り過ぎるよりも歩いて楽しむところだから、仕方ないように思う。もし車道の幅を広げて、すぐ側を車がビュンビュン行き来してたら、こんなに素敵な空間にはならなかっただろう。

ニースの遊歩道のシンボルとなっている青い椅子。
別の日に横から撮った写真。ビーチを見下ろすかたち。

こんな屋根つきエリアもあり、この日は社会で活躍している女性の写真が展示されていた。フェミニズム的なメッセージかな。
このように、遊歩道の一部は、ときにギャラリーのように機能している。つくづく、道の使い方が自由で上手。

別の日の夜に行ったときは、展示はなくなっていた。
ニースがツール・ド・フランスの会場になったときは、大きなモニターが出現。
朝はジョギングする人多し。これもまた気持ちよさそう。

日本でも、美しい海岸線にはこういう広々した遊歩道があってほしい。車で通り過ぎるだけなんてもったいない、と思うのでした。


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