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南仏プロヴァンスの旅

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2020年6月から2021年11月まで、南仏プロヴァンスに住んでいたときの旅ブログ。 オンラインサロン「Like! Provence」にて連載。
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#France

2000年前にローマ人が建設した水道橋「ポン・デュ・ガール」

ニーム近郊オクシタニー地方にあるポン・デュ・ガール(Pont du Gard)は、ガール川にかかる巨大な水道橋です。 この水道橋は、古代ローマ時代の紀元前19年から5年かけて建設されたそうです ※年代については諸説あり。 当時、人口が増えて水不足になったローマの都市ネマウスス(現ニーム)へ、50km離れた水源地ユゼスから水を引くためにつくられた導水路の一部です。 ポン・デュ・ガールは約600年間、飲料水を運ぶために使われていました。 水道橋の上はどうなっているの? ポン

岩山の小さな村「ムスティエ・サント・マリー」の陶器

ムスティエ焼きで知られる小さな村ムスティエ・サント・マリーは、プロヴァンスの山岳地帯にある人口700人程度の村です。 この辺りは、切り立った岩山とその間を流れる清流の、迫力ある景勝が広がっています。ムスティエ・サント・マリーも遠くから見ると、断崖絶壁を背負っているのがわかります。 ムスティエ・サント・マリーは車かバスでしかアクセスできませんが、人気の高い観光地で「フランスの最も美しい村」にも登録されています。 人気が高い理由のひとつは「ムスティエ焼き」という高級陶器の生

画家セザンヌのアトリエと「サント・ヴィクトワール山」

セザンヌってどんな画家? 私が住んでいた街エクス・アン・プロヴァンス通称エクスは、画家ポール・セザンヌ(1839〜1906 年)の故郷であり、創作の地でした。 セザンヌは「近代絵画の父」と呼ばれるほど、美術史にとってなくてはならない存在。 今回は、エクスにあるセザンヌのアトリエを訪れます。 セザンヌはエクスの裕福な家庭で生まれ育ち、20代前半に画家を志してパリに出ます。 最初は、モネやルノワールなど、自然の光を美しく描く「印象派」 の一員として活動していました が、やがて独

モダニズム建築の巨匠ル・コルビュジエの「ユニテ・ダビタシオン」

コルビュジエ理想の集合住宅 マルセイユで、ル・コルビュジエが設計した「ユニテ・ダビタシオン」に泊まりました! コルビジェはモダニズム建築の巨匠。 近代建築の5原則(ピロティ、屋上庭園、自由な平面、自由な立面、水平連続窓)を提唱しました。 「ユニテ・ダビタシオン」は、コルビュジエが設計した理想の集合住宅です。ヨーロッパにいくつかあり、マルセイユにあるものが最も有名です。 1945~1952年に建てられた8階建て全337戸。今も人が暮らしていますが、一部ホテルになっています

ローマ教皇のおひざ元だった「アヴィニョン」

あの歌の橋は途中で終わっていた! アヴィニョンのまちことは知らなくても、「アヴィニョンの橋の上で」という童謡は聞いたことがあるという人、多いのではないでしょうか。私もそうでした。 歌に出てくる「アヴィニョンの橋」です。 スイスを源流に地中海まで続いているローヌ川にかかっています。 あれ? なんかおかしい・・・と思いますよね。そうなんです、橋が途切れているんです。 橋の正式名は「サン・ベネゼ橋」。 橋の名前になっているベネゼという羊飼いが、天使から「橋をかけなさい」とお

赤い色をした村「ルシヨン」のオークル

プロヴァンスの西側、広大なぶどう畑を見下ろす丘の上に「ルシヨン」はあります。 村全体が赤いのが、ルシヨンの大きな特徴です。南仏の濃い青空によく映える! ルシヨンは面積28㎢程度の小さな村ですが、その色彩の美しさに多くの観光客が訪れます。 人口2000人未満で保護遺産があるなどの基準で選ばれる「フランスの最も美しい村」にも認定されています。 ルシヨンにある建物はすべて赤い色をしています。 しかしよーく見ると、一軒一軒色味が微妙に違います。 ピンク色に近かかったり、黄色っぽか

ミモザ!ミモザ! ミモザ! 南仏の春の訪れ

冬のマルシェに並ぶミモザ プロヴァンスというと温暖なイメージがありますが、冬は東京と同じくらい寒いです。街を歩くマダムたちも、ブーツにジーンズ、ダウンジャケットを着込んでバッチリ防寒します。 そんな真冬から春先にかけて、プロヴァンスの花屋にはミモザがたくさん並びます。とくにマルシェでは新鮮なミモザの花束が3〜5ユーロ(1ユーロ約130円)と、安く売っています。 ミモザの正式名はアカシアといいます。ギンヨウアカシアやフサアカシアなど、黄色いフサフサの花が咲くマメ科アカシア属

ゴッホが描いた「アルル」では、ローマ遺跡が現役だった

アルルは小さいまちなので歩くだけなら一日あれば十分ですが、見所が多く何度も訪れたいこところです。 古代ローマ時代を物語る「円形闘技場」アルルは紀元前6世紀頃にギリシア人が開拓した後、紀元前1世紀にローマの植民地となりました。アルルは地中海へ続くローヌ川沿いに位置しているため、ローマ人は運河を建設し、アルルを地中海交易の要所としました。 そうしてアルルは「小ローマ」と言われるほど繁栄します。 現在、その形跡であるローマ時代の遺跡がいくつもあり、それらは世界遺産に登録されてい

幻想的な湿地帯「カマルグ」を白馬に乗って歩く

独特な地形の湿地帯カマルグは、ヨーロッパ最大規模の湿地帯です。 グラン・ローヌ川とプティ・ローヌ川、地中海に囲まれた3角のエリアで、カマルグ地域自然公園にあります。ローヌ川が何千年にもわたって運んだ土砂が土壌となり、独特の景色が広がっています。 地図で見ると、湖や池が点々としていて、いまにも地中海に沈みそう(沈みません)。海の側の塩田は、ほんのりピンク色。フランスで唯一の水田もあります。 フラミンゴをはじめ数百種類の野鳥、黒牛、白い馬など、カマルグならではの生き物が生息して

マルセイユ港編:魚市場とブイヤベース

活気に溢れる魚市場19世紀まで貿易の中心地として栄えていたというマルセイユの旧港。 そこにある「ベルジュ河岸(quai des Berges)」では、毎日午前中に魚市場がたちます。 カモメが空中を旋回する下で威勢のいい掛け声が飛び交い、活気に溢れています。 魚市場の後ろは海! 漁師たちが船と陸をまたいで行き来しています。 見慣れない深海魚からマグロまで、その場で魚を捌いています。ワイルド! 親子でしょうか、くわえタバコがサマになってますね。 余談ですが、マルセイユに限

おしゃれな港町「カシ」の広大な景色

プロヴァンスに住んでいる友人知人におすすめの観光地を聞くと、よく「カシ」という答えが返ってきます。カシはマルセイユから南東へ約30kmのところにある、小さな港町です。 「カランク(入り江)」巡りの出発点マルセイユとカシの間には「カランク」という約20kmの入江があります。このカランクを巡るハイキングやクルージングが人気だというので、立ち寄っても。カシはカランク巡りの出発地点です。 景勝ポイント「カランク・ド・ポール・ミュウ(Calanque de Port-MiouCal

四季折々、花があふれる「ボルム・レ・ミモザ」

探検したくなる村 ボルム・レ・ミモザは、海から山へと斜面に張りつくようにある村です。 村がいまの姿になったのは12世紀、外敵の襲来に備えて、あえて不便な場所につくられたそう。 こういう防衛のために高い場所につくられた村は、フランス全土にあります。ボルム・レ・ミモザもそうですが、高い場所にある村は山に沿っていため、坂や石段が多く、時々建物の下をトンネルのようにくぐる入り組んだつくりをしています。 これがなんとも冒険心をくすぐるんです。 いつも花々が出迎えてくれるボルム・レ・

スリルと景勝!「ヴェルドン渓谷」をドライブ

「ヴェルドン渓谷(gorges de Verdon)」は、188,000ヘクタールの広大な自然が広がる「ヴェルドン地域自然公園」にあります。長さ約25km、深さは最大700mにも及び、谷底にはヴェルドン川が流れています。 ジェットコースターより怖いドライブコースヴェルドン川が流れつく「サント・クロワ湖(Lac de Sainte-Croix)」です。今回は、渓谷を一周して、この湖のほとりに戻ってくるコースをドライブします。 まずは切り立った岩山の間を登っていきます。このコ

ノストラダムスが予言書を書いたまち「サロン・ド・プロヴァンス」

ノストラダムスがいたまち サロン・ド・プロヴァンスは、人口4万人ほどのまちで、ノストラダムスがいたことで知られています。 また、空軍基地や空軍士官学校があり、たまたま車で通りがかったときに、アクロバット飛行をしている戦闘機を見たこともありました。 16世紀にはすでにあったという「La Fontaine Moussue」は、見てのとおり「苔むした噴水」という意味。サロン・ド・プロヴァンスの名所のひとつ。日差しの強いプロヴァンスでは、噴水の周りで涼む人をよく見ます。 時計塔