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画家セザンヌのアトリエと「サント・ヴィクトワール山」

セザンヌってどんな画家?

私が住んでいた街エクス・アン・プロヴァンス通称エクスは、画家ポール・セザンヌ(1839〜1906 年)の故郷であり、創作の地でした。
セザンヌは「近代絵画の父」と呼ばれるほど、美術史にとってなくてはならない存在。
今回は、エクスにあるセザンヌのアトリエを訪れます。

セザンヌはエクスの裕福な家庭で生まれ育ち、20代前半に画家を志してパリに出ます。 最初は、モネやルノワールなど、自然の光を美しく描く「印象派」 の一員として活動していました が、やがて独自の画風を探究するようになり、エクスに戻って制作を続けました。

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セザンヌは、自然を簡素化して「円筒・球・円錐」で捉える様式や、多方向からの視点をキャンパス の上で再構成する様式を生み出します。 確かにセザンヌの絵を見ると、普通の遠近法では描かれていなくて、どこか空間が歪んでいる感じがします。
こうしたセザンヌの絵画様式はピカソはじめ20世紀の画家に大きな影響を与えました。

時が止まった、こだわりのアトリエ

そんなセザンヌが母の遺産でエクスにアトリエを手に入れたのは、1901年62歳のとき。 以来、セザンヌは最期までそこで絵を描き続けました。

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セザンヌによって、創作に適した空間へと改装されたアトリエ。 まず特徴的なのは、北側一面の大きな窓です。 この窓からは、太陽の光が強すぎず、弱すぎず、いつも一定の量で差し込むのだそう。 反対の南側は日差しが強すぎるため、雨戸が閉められていました。
くすんだ色合いの壁や、木の床も、光の反射加減を意識してとのこと。
セザンヌが、物の見え方に徹底的こだわっていたことがうかがえます。

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さらにセザンヌはこのアトリエに、身近にある小物を持ち込んで、絵のモチーフにしました。 果物皿やラム酒の瓶、石膏のキューピッド像・・・。 最も描かれていたのがプロヴァンス製陶器の緑の小壺(写真中央の棚の上)で、セザンヌの作品に22 回も登場しているそう。

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テーブルや小物についた絵具も、そのまま残っています。 当時のまま、時間が止まっているみたい。

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ベレー帽やコート、作業着、傘など、セザンヌが実際に身に付けていた衣服もあります。 今にも本人が現れて羽織り出しそうなほどリアルです。
アトリエは、全ての物が一見無造作に置かれているのに、整然とした印象がありました。 不思議と心が落ち着いて、ずっと佇んでいたくなりました。

サント・ヴィクトワール山を望む丘

お次はセザンヌのアトリエを出て、10分ほどゆるやかな坂を上ります。 すると、彼が生涯にわたって描き続けたサント・ヴィクトワール山を望める「レ・ローヴの丘」に到 着します。
ここでは、セザンヌがイーゼルを立ててキャンバスに向かった、まさにその場所に立つことができま す。
セザンヌは、どこにアトリエを構えるか決めるとき、サント・ヴィクトワール山がよく見える場所が 近くにあることを第一条件にしたといいます。

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サント・ヴィクトワール山はエクスから見える唯一の高い山です。
先の尖った岩山で、夕暮れ時は岩肌がピンク色に染まってとてもきれいなんですよ。

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まちの中心部「ロトンド大噴水」前には、キャンバスを背負ったセザンヌの銅像が立っています。 たまたまかもしれませんが、セザンヌが向いているのは、サント・ヴィクトワール山の方向。 およそ120年前、こんな風に絵を描きに出かけるセザンヌの姿が、エクスにあったんですね。

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エクスの文房具屋やお土産屋には、必ずセザンヌの絵のポストカードが置かれています。 セザンヌのこと、エクスのことをしたためて、日本の友人に送りたいと思います。

ちなみに、セザンヌの生涯を知るには、映画『セザンヌと過ごした時間』がおすすめです。
太陽の煌めき、乾いた岩、エメラルドブルーの川・・・エクスの自然を写した映像美も見所ですよ。


※より詳しくプロヴァンス情報を知りたい方は・・・
オンラインサロン「Like! Provence」 https://likeprovence.fr

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