車いすユーザー、道に迷いながらも「出来ることカウントアップ」し続ける日々
今日もお疲れさまです。
まおです。
自身の誕生月が終わり、こちら北国には早くも初雪の便りが届きました。
もういい歳ですから、「誕生日だ、やったー!」なんて少女の頃の気持ちにはならず、家族とささやかな夕食会をして和やかに過ごした誕生日。
そういえば、受傷した年の誕生日は集中治療室で迎えました。
人工呼吸器を卒業し、ミキサー食が開始され…誕生日当日のデザートに付いてきた、少量で極々普通のホイップクリーム。
その美味しかった記憶は今でも鮮明に覚えています。
丸6ヶ月の入院を経て退院。
入院中にリハビリは行なったものの、様々な理由からリハビリ専門の病院を経ずに普通の暮らしに戻ることになった私。
この不自由な身体で一体どのようにして生きていったら良いのか…
一日のルーティンを何一つ自分でできないことに落ち込み、イライラ、それを家族に八つ当たりしてしまう。そして後悔、また落ち込み…のサイクルを永遠に繰り返していました。
訪問看護と介護、頼れるサービスを利用することで、自身のできないことを代行してもらいましたが、排泄ケアや入浴介助を人にしてもらうことは、最初はやはり恥ずかしさ含め複雑な想いではありました。
(もちろん、専門職の方々ですから信頼はしております)
日常動作すら満足にできなかった私が、車いす姿でどれくらい成長したのか?
それともまだあの頃のままなのか?
少し振り返りながら、綴ってみます。
◽️はじめまして、私の新しい“あし”
私のあしとなる車いす、初代は介護用のもの。
人生初めてのことですから、選び方や種類すらわからず…介助を前提としたこの1台をおすすめされたため、言われるままに購入を決めました。
抱えられて移乗し、最初の一漕ぎ。
とにかく重い!両腕で一生懸命力を入れても数メートルも進めない。挫けそうになりました。
問題なく車いすで移動するどころか、そもそも車いす-ベッド間の移乗すらできず。
それでも週末に片道4時間半かけて来てくれる両親と共に、できる限り病棟内を漕いで回りました。
3周30分以上かかっていたのが、退院前には30分もかからずに休憩なく5周できるまでに。
ほんの少しだけ進歩して、無事退院そして実家へ戻りました。
◽️アクティブ車いすで、整容を覚える
それからは、自主筋トレや自宅周辺で自走練習を行う日々。
昔からインドア派な私は、あまり運動を好みませんが、鍛えなければどこへも行けませんから。
何より、玄関までの長いスロープ。これを上るのは当時、至難の業でした。
そんな日々を送って1年経過し、2代目の車いすを購入することに。
今度はアクティブ系と言われる、操作性もデザインも良い1台です。
カラーやオプションにも拘ったこの車いす、乗ってみたら全然違う!
オーダーメイドで身体にぴったり合うこと。すいすいと軽く進むし、小回りも効く!
何よりもおしゃれ感がプラスされて、気持ちも上向きにさせてくれました。
そうしたらなぜか、この車いすのカラーに合うような流行りのニットワンピースを着てみたいな…なんて思うように。
びっくり。
それまでは着脱や介助しやすいジャージやスウェットばかりで、おしゃれの「お」の字も考えたことがなかったですから。
それからは少しだけ身だしなみに気をつけ、美容室で初めてのカラー、そして車いすファッションを研究したりと…そうしているうちに積極的な外出をするようになり、それに伴って自走力も付いていったのです。
ここでもまた少し進歩を実感。
◽️道をくねくね進み、ついに仕事に就く
そして次の段階へ。
そう…「働く」ことです。
いきなり話が飛びましたが、ここに行き着くまでには、それはそれは長い道のりと大変な困難を経験しました。(割愛します)
障害者就労施設に通所し、時給100円でも毎月いただいた工賃には本当に色々な想いが詰まっていました。
(B型就労は最低賃金適用なしです)
何よりも、この身体で何かの役に立てるということに感動しました。
その後は、フルリモートで人生初の障害者雇用として受け入れていただいております。
自宅で一人ぽつんと作業するのはデメリットもありますが、地方住まいの車いすユーザーにとって高いハードルとなっている通勤が必要ないというのは、ものすごく大きいメリットです。
この仕事を通して、より強く誰かの何かの役に立てていると実感でき、いただくお給料から毎月一度「ご褒美デー」を設定してあちこちの洋菓子屋さんなどでケーキを購入。
家族揃って美味しくいただく時間が幸せなのはもちろんのこと、とにかくみんなの喜ぶ顔が見たくて。
こんなにも車いす生活に慣れて、障害があってもできることや楽しめることがたくさんあるなんて、当初は全く想像できませんでした。
あの頃の自分にこっそり教えてあげたいくらいですね。
◽️そしていま願うこと
いま、資格取得に向けて本格的に勉強し始めたところです。
自分を守るため。一人の人として認められるように。そして身につけた知識がほんの少しでも誰かの役に立てたなら…
そんな想いで、身体の不調と戦いながらも日々精一杯生きています。
自身はもちろん、家族、ヘルパーさん、訪問看護師さんほか医療従事者の方々。
関係してくださっている方々全てに、「あぁ、あの頃より随分と成長したね」と言ってもらえるように、私は一歩一歩進んでいるところです。
亀の歩み、といったところでしょうか。
そして願うのは、健常障害関係なくフランクに付き合える友達、仲間を作ること。そしてあちこち色んなコミュニティに属して、居場所をたくさん持っておくこと。
ほんのちいさな欠片でもいいから、社会の1ピースとして何かしらの役割がある人間になること。
人見知りで何をするにも慎重すぎる私ですが、勇気を出して一歩(ひと漕ぎ?)踏み出したい。
そうしたら数年後にはまた違った『想像していなかった未来』が訪れるかも。
これからの自分に期待を込めて「頑張って!」とエールを送りたいと思います。