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晴海フラグの冬景色 狂った季節の終わり


1.狂った季節の終わりに

 昨年12月初めに、寂しげな季節を感じながら晴海緑道公園と並行するシーヴィレッジの庭を歩いていると、突然、濃厚な甘酸っぱい香りに包まれた。一緒にいた妻はクチナシの花の匂いに似ていると言った。しかし、季節は冬の始まりで、クチナシの花が咲いているわけはなく、また、シーヴィレッジの庭でクチナシを見たこともなかった。そもそもクチナシの花の香りは花に鼻を近づけないとわからない。この様に周りを芳香で包み込むと言う事はないはずだ。
 周りを見回すと(細かすぎて写真ではわからないが)細い枝に鈴蘭に似た小さな花を鈴なりに咲かせている低木があり、香りはその木から発せられている事が分かった。標識を見ればナワシログミとあった。

ナワシログミの木

 匂いは金木犀よりも少し甘さが強いようだが、香りの強さは金木犀と甲乙付けがたい。初めて金木犀の香りに出会った時と同じように感動した。これからはナワシログミは金木犀と同じくらいに好きな木になるだろう。
 調べれば、ナワシログミは関東以南の海岸地帯で栽培され、10−11月に開花するとある。やはり、例年より1−2ヶ月開花が遅れているのだ。普通なら、金木犀との香りの共演も楽しめるかも知れない植物だと分かった。12月も半ばになると白い花が黄色くなり、匂いも薄らいだ。狂った季節も漸く終わろうとしているようだった。
 ナワシログミは晴海に来るまで見たことはなかった。それはシーヴィレッジの庭全体に隙間なく植えられている。花の芳香を知るまで、花も咲かない、実もならない、何の取り柄もない木だと思っていた。放っておくと細い枝が伸び、通路を塞ぐ様になり、常に剪定が必要な厄介な木だと思っていた。シーヴィレッジでは南東側の庭だけでなく、北西側の植栽にもよく見受けられる。
 残念ながら全てのナワシログミが開花したわけではない。むしろ、緑道公園に沿った日当たりの良い所にある木だけに花が咲いたようだ。単に日当たりだけの問題か、それとも樹齢も影響しているのかはよくわからない。もし、来年、全ての木が開花すればシーヴィレッジは狂気に包まれるだろう。春か夏にはグミの実を楽しむ事ができるだろうか。

2.晴海フラッグの冬景色

 昨年は12月になると気温も平年より高いとは言え、ようやく冬の訪れを感じるようになってきた。桜の樹も黄色く染まり、気づけば、あれほど夏の終わりに抵抗し続けていた百日紅もすっかり葉を落としていた。少し、遅れていたが、サンヴィレッジのカエデも美しく紅葉してきた。

サンヴィレッジの紅葉

 晴海フラッグの至る所で、初冬に咲くツワブキの黄色い花が咲き出した。海岸地帯に適した花らしい。実は、それまで大きな葉の雑草だと思っていた。失礼しました。12月も下旬になるとシーヴィレッジのサザンカも寂しい冬に色を添えてくれる様になった。サザンカは、1月には埠頭公園の椿に、2月には椿が早咲の桜にバトンを渡してくれるだろう。桜の季節が待ち遠しい。

ツワブキの花
水仙の花
芝桜の花

 そして正月明けに水仙の花をシーヴィレッジで見つけた。埠頭公園では芝桜が元気に咲いている。確か開花時期は春のはずだが。
 晴海フラッグの冬は思ったよりも彩りが豊かだ。注意深く観察していると毎日の様に新しい発見がある。それが晴海フラッグを散策する楽しみだ。

3.晴海フラッグの1年を振り返って

 晴海フラッグに引っ越して来てまもなく1年になり、一通りの季節の変化は経験した。その季節の移り変わりを振り返ってみると

 今年はどんな1年になるだろうか?穏やかな年でありますように。

以上

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