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しあわせは食べて寝て待て
しんどいな、とふと思った時、私を支えてくれるものたちがある。
バイトから帰ってきて食べる母の作ったおいしいごはん。家族みんなで過ごすお茶の時間。見ようと楽しみにとっておいた、ドラマなどのコンテンツ。
ひとつひとつは小さいことかもしれないけれど、そういった何気ないものに支えられて私は生きていると思う。
昨年の年末、なんとなく気持ちが落ちていた時。
人に言うほど不幸でもないし、でもなんとなく明るい未来を描けなくてしんどかった時、あるひとつの漫画に私は出会った。
水凪トリさんが描いた『しあわせは食べて寝て待て』という作品だ。
ある記事をネットで読んでいたらこの漫画が特集されていて、面白そうだな、と思い試し読みをしてみた。
主人公のさとこは、ある病気によって正社員の仕事を辞めて週4回のパートで働くようになり、団地に引越してくる。その引越し先の大家さんのおばあちゃんや様々な人との関わりを描いた物語だ。
この漫画の魅力の1つは、漫画に出てくるごはんがとっても美味しそうなところ!
薬膳漫画でもあるので、食材に関する知識も学ぶことができてとても勉強になる。
まだ全ての物語を読んだわけではないので多くは語ることができないのだが、目立たなくてもしあわせそうに生きる登場人物たちを見て、「こういう生き方があってもいいんだよね」と気持ちが軽くなった。
こう考えるのはどうかしら
新しい自分になったのだって
お金がないならないなりに
体力が落ちたなら落ちたなりに
けっこう楽しいことって起こるわよ
一巻で出てくる大家さんのおばあちゃんのこの台詞が、私はとっても大好きだ。
過去の自分に戻ることはできなくても、今の自分で明るく生きる方法はある。だから、それを忘れないで。そう言ってくれるような気がして、初めて読んだ時この言葉に泣いてしまった。
「能力」って普通
何かができることを言うじゃない?
できない自分を受け止める能力の方が
必要な気がするわ
何かができるようになることは立派で、何もできない自分は立派じゃないのか。本当はそんなことないはずなのに、気がついたら人と比べて競っている。
私も、できることを頑張ろうとする自分、できないことを受け止めようとする自分どちらも大切にしたいと思った。
来週からいよいよ、新しいアルバイトが始まる。
今より忙しくなって、しんどくなったりするだろう。それでも、このことを忘れない。
しあわせは、食べて寝て待て。