認知症と中核症状とBPSD
中核症状は本人に不安や混乱などをもたらします。
そんな精神状態に、本人の性格、周囲の環境、対応、本人の経験などの要因が絡んで来るのがBPSD(行動・心理症状)です。
以前は「周辺症状」と呼ばれたものです。
周囲からすると、「困った行動」も本人からすると、「なんとかしたかった。適応しよう」としている部分もあるようです。
このため本人の状態を理解し適切なケアをすれば、BPSDが軽減します。
(適切なケアをしていないからBPSDが発生しているわけではないです)
BPSDには以下のものがあります。
a)興奮・暴言暴力・介護拒否
感情のコントロールする部分の脳の前頭葉の萎縮や脳の疲れやすさから、比較的初期から感情が抑えにくいです。
そんな中で、本人にとって理解が困難な状況に置かれ、尊厳が傷つけられたと感じる対応をすると強く出ます。
b)抑うつ・不安・無気力
脳が疲れやすいため何か行動を起こそうとすると、エネルギーが出ないことがあります。
また出来ないことが増えたと感じたり、自信や尊厳が傷ついていたりすることでも現れます。
c)外出時の道迷いや行方不明
場所の見当識障害が進むにつれて、外出時に道に迷うだけでなく、自宅などの見慣れた場所も「初めて来た」となり、「ここはどこだろう」や「家に行かない」などから外へ行こうとします。
本人にとっては理由ある行動なので、説得しようとすることは無理です。
d)妄想
客観的にありえない考えを他人が適正出来ないほど確信するようになる症状です。
記憶障害が進んで置き忘れた財布やお金を周囲の人に盗られたと主張する「もの盗られ妄想」は初期の頃から見られます。
理不尽な対応をされたなどの「被害妄想」や自分のパートナーが浮気をしていると思っている「嫉妬妄想」もあります。
自分にとって身近な人だからこそ、その関係性が悪化して維持出来なくなることから起こるようです。
e)幻覚
現実ではありえないものを現実に見聞きしているような症状です。
服が動物に見えたり、見知らぬ人と話しているものまで、様々な症状があります。
レビー小体型認知症ではよく見られる症状です。
薬だったり、水分不足。睡眠不足だったりと原因も様々あります。
他には昼夜逆転から異食、弄便などもBPSDとしてあげられています。
認知症の症状には、同じものがあるようで全く同じものは存在していません。
中核症状と違って適切なケアを行うことで防げることが出来ます。
また複雑に症状が絡み合っていることもあり、確実に「適切なケア」で防げるわけではありません。
時と場合によっては、症状を受け入れ、適切な支援を受けつつ付き合っていくことも必要です。