猛暑のしのぎ方
”まのいいりょうし” を屋号に掲げる私たちは
常々 ”まのいい暮らし“ について考えている。
夏は 暑いものであり
冬は 寒いものである。
文明の発達により「快適」を手に入れた現代、アセモやシモヤケ知らずの生活に慣れてしまうと、四季の寒暖を生身で受ける感覚をうっかり忘れがちだ。
昔、気温が40℃を超すアフリカの町を旅した時のこと。
もう、その暑さたるや、息をするだけでやっとという程で、本来ならゴソゴソと動き回っていないと落ち着かない性分の私なのだが、あまりの暑さに「今日、生き延びたから許して」と心で誰かに許しを請いながら、脳みそが溶けたように寝床で伸びていた。その時、何が一番辛かったかと言うと、クーラーやアイスキャンデーを知っている自分が堪らなく辛いのだ。
「扇風機あびたい」 「氷がたっぷり入った水飲みたい」 「プールに飛び込みたい」etc….
脳裏に浮かぶ ありとあらゆる避暑。その己の欲との戦いが何よりも辛い。
電気も水道もないこの村の人々は、わたしの脳裏にあるような避暑など日常にあるはずもなく、ただ淡々と日々を送っている。
快適を知っていることの弱さが浮き彫りになる。
日本の夏も、このところ非常に暑い。
外仕事をしている私は、数年前暑さで体をヤラれて秋の終わりまで尾を引いた。それ以来、繰り返さぬようアフリカ体験をメンタルに活かしつつ、暑さのしのぎ方を探求して、なかなかイイところまできている気がする。
まず、キンキンに冷えたものは 飲まない。
私の自己分析によると、熱中症や夏バテの引き金は”温度差”にあると思う。
特に体内を冷やすと、すぐに体にブーメラン飛んでくる感覚がある。コンビニやスーパーのような強い冷房を浴びても、私はすぐにクラクラしてしまう。暑くなればなるほど、冷たいものを避けるようになった。気持ちとしては、シュワッとしたいしキーンとなりたくて、つい手を出してしまうのだが、気持ち良いのは喉ごしだけで、後半は飲みきれなかったり、お腹壊したり、あと口の悪さで胸やけするのを何度も繰り返した。
結果、行き着いたのは「梅番茶」。
熱いほうじ茶に梅干しを入れたものを水筒に常備している。温かい飲み物は、少量で喉が満たされ、水分を取りすぎないので、無駄な汗をかかずに済む。大量の汗をかくのはそれだけで体力を消耗する。そして、梅干しの塩分が、なんの抵抗もなく後味良くすーーーーっと体に染み込んでいく。この水筒を「点滴」と呼び愛用し、この夏も私は救われた。
もう、ばばあと呼ばれようがなんだろうが、私はもうフローズンとかフラッペなどに心なびくことなく、白湯や番茶を選べる域に達したのだ。
山暮らしの我が家にはエアコンはない。が、大丈夫。
木陰は偉大だし、アスファルトと土の温度差は歴然。窓を開け、外の空気や虫の声の変化に目を向けると、朝から晩まで本当に暑い時期は2週間程だと気付く。街の暑さは、人間が自ら招いている人工的な暑さということにも気付く。
災害で真夏にライフラインが止まる事だって起こり得る。エアコン無しでしのげる体や術や環境を身につけることを目指すのも、日々の有効的な熱中症対策じゃ無いだろうか。
ついでに私の夢想を言うと、現状はアスファルトやコンクリになってる庭、駐車場、歩道など、街のありとあらゆるスペースに木を植えられたなら、体感温度は5度くらい下がりそうだし、木がある事で街でも窓を開けて過ごせる人が増えてエアコン使う人も減れば、更にもっと気温が下がるんじゃ無いだろうか。
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