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小説(SS) 「会員制の粉雪」@毎週ショートショートnote #会員制の粉雪
お題// 会員制の粉雪
その会員制サウナには、今日もたくさんのお客が集まっていた。
体験入店にきていた宇那礼二は、店員の退屈きわまりない説明を聞き流すと、すぐに服を脱ぎ捨ててサウナ室へと繰り出した。
五分とたたないうちに、全身から汗が吹き出してくる。頭にのしかかっていたモヤモヤも、外からの熱に意識が向いていくことで、不思議となくなっていく。エネルギーの高まり。礼二は、ここだというタイミングまで粘り続け、最高の状態でサウナ室を出た。
そこから繋がっていたのは、天井から粉雪が降り注ぐドーム状の施設だった。ひんやりとした冷気が火照った体を包み、落ちてきた粉雪が皮膚を心地よく刺激する。
最高だ。礼二は満たされた気分で深呼吸をした。
しかし、おかしい。
チーズの匂いがする。
鼻先に粉雪が落ちてきた。ふわっと香る。
そして気づいた。これは粉雪ではない。
これは、フローズン粉チーズだ!
礼二は不意に寒気を感じ、上を見た。ゆっくりと天井が開く。そこには、たくさんの巨大な魔物たちがフォークを持ち、よだれを垂らしながら覗き込む姿があった。
〈了〉456字
*
オチにとても苦戦したお題でした。
ギャグにしたかったのですが、蓋をあけてみれば
宮沢賢治な感じになっておりました。
東京では粉雪が降りましたね。
お出かけしてたのですが、風が強くて吹雪かれてしまいました。思いっきりそれを反映してます。
ではではまた〜