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『知り合い』が作る社会

社会のかなりの部分は「知り合い」という関係で出来上がっていて、「古くからのあり方」を前提としているセレブの世界なんかは、もちろん「お知り合い」の関係で成り立っていて、だからこそロビー活動というものが効果を持つ。そこが「一見さんお断り」であるような、「よそ者が入りにくい社会」であればこそ、「口ききをする人」が重要な意味を持ってくる。オリンピックだってワールドカップだって世界遺産だって。
以上は、橋本治著『バカになったか、日本人』(集英社文庫2017)の一部分の引用。

もう、この箇所、何度読んでもうなずけて、ぴったり言い表していて、そう!そう!そう!とひとりで言ってる。
なんで死んじゃったの橋本さん。なんでもっと生きててくれなかったの。
………無理だよね。
生ききったものね。
命を燃やし尽くしたって、橋本さんのことだよ。


知り合いという関係で成り立つ社会だから、
林真理子は小泉純一郎のことをベタ褒めして、奥谷禮子と着物友達で、佐藤優や西原理恵子は勝間和代と交友関係にあって対談し、褒め合い、それぞれが互いに、
「ほんとうに他人に気を遣う人」「素晴らしい人」
だと心酔して発言する。

それ、あなたが著名人で、他者には取って代わられない作品をものし、活躍し、功なり名を遂げた存在だから大切にされただけでしょう?

あなたがたが褒めあっている人たちって、誰にでも気を遣うような非効率なことはしませんよ。残酷に切り捨てても平気な相手がたくさんたくさんいますよ。

言っても、わからないだろうな。
社会の上層部で、スポットライトを浴びている人たちから、存在を知られていて親切に声をかけられて、その思いがけない幸せに酔いしれて。
自分が頑張ったからだと、来し方行く末を肯定して。

そういう人達が、はなやかに笑いさざめきながら、社会の価値観を作りあげる。
橋本さんみたいな人は、そこにはいない。


格差は、当然のこととしてひろがっていく。

橋本さん。もっと生きててほしかったよ。

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マンネンロウ
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