トラクター横転、ドクターヘリで運ばれる【骨折・入院】
酪農家にとって、夏は牧草をとる大事な時期。
今年は東北の梅雨がずれ込んだために、例年よりも作業が遅れ、ちょうどその日も、刈り取って畝状に集めた牧草を、ロールという大きな円柱状に巻く作業の真っ最中でした。
自分の持ち場が終わった私は、普段は乗らない古いトラクターで、ロールを移動させておこうと、アームを高く持ち上げたそのとき、トラクターがグラリと傾きました。
『あ、終わる』と思った次の瞬間には、鈍い足の痛みと共に牧草地に投げ出されました。
山の中にあるうちの牧草地は傾斜が強く、アームを高く持ち上げたためにバランスを崩して横転したのです。
幸い、近くで作業中の夫が駆けつけてくれ、私を軽トラに乗せて救急車を呼んだあと、ひとまず家まで運んでくれました。
(考えてみると初のお姫様抱っこ。旦那、腰痛確定)
駐車場に寝かされた私の頭上に、ドクターヘリがパラパラと。
救急車のサイレンも聞こえてきました。
山の上に住んでいるので、救急車とドクターヘリが同時に来てくれたのです。
次第に大きくなるサイレン音…そして遠ざかっていく…。(迷った?いまだに謎です)
ようやく再びピーポーの音が近づいてきて、無事にドクターヘリに収容され、隣の県の病院へ運ばれました。
車で行けば1時間以上かかる病院ですが、ヘリでは『8分です』とのこと。
さすがヘリ。ありがたい。
ドクターヘリは思ったより狭く、寝たまま乗せられていると圧迫感があり、閉所恐怖症気味の私は、もう少し長く乗っていたらしんどくなっていたかもしれません。
でも、運転はとてもスムーズで、下降の際に少し揺れたくらいで、いつ着陸したかもわからなかったほど。
とはいえ普段から乗り物酔いをするので、ヘリ酔いと、その後のCT の造影剤などで気持ち悪く、手術を待つ間には、過呼吸も起こして手が震えてきました。
そこへ、車で追いかけてきた夫が到着。手を握ってもらうと、呼吸も気持ちも落ち着きました。
日頃悪態をついてばかりの私たちですが、こうなってみて初めて『この人がいてくれてよかった、ありがとう』としみじみ思えました。痛みとほっとしたのと、色々な感情が溢れて涙が出ました。
そして手術室へ、と向かう頃には、もう意識がありませんでした。
術後、目を覚ますと足が串刺し!
折れた足を中心にして、金属のやぐらも組まれています。(創外固定というらしいです)
足がパンパンに腫れているので、なんだかこのまま丸焼きにして食べられそうです。
余裕なんじゃありません。色々なことが起こりすぎて、現実感が薄いんです。
その日はICU に寝かされましたが、痛み止めが切れると、声が出てしまうほどの激痛に襲われます。ベッドが固いのか腰も痛く、モゾモゾモゾモゾ体勢を変えながら、その日はほとんど眠れませんでした。
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