令和6年能登半島地震 最前線で学んだ3つのこと<必要な道具編>
真冬に震災が起こった際の本当に必要な備えとは何なのか、知りたくありませんか。この記事は能登半島地震で学んだ3つのことの1つ、真冬の震災を生き抜くために必要だった3つの道具の事を書きます。
停電・断水・圏外の極限状態
私が住む集落は停電・断水に加え、土砂崩れによる道の寸断が発生していました。これは、逃げたくても逃げることができないという意味です。真冬の厳しい寒さを耐えなければいけませんでした。
私たち夫婦が住む家は幸い崩れてはいませんでした。しかしダメージは酷く、屋内の扉はガラスが割れ、隙間風により外から冷たい風がより一層屋内を駆け巡り、室内は終日マイナスの温度でした。
そんな環境で1ヶ月間耐え忍びました。最低限必要な道具は下記3つでした。
電池式灯油ストーブ
懐中電灯
カセットコンロ
電池式灯油ストーブ
何よりも暖を取ることが大事でした。しかし電気が使えません。
集落で余っている電池式灯油ストーブを分けてもらい、暖を取ることができました。灯油ストーブは暖の他に料理の役割も担っています。スキレットを置けば炒め物もできますし、やかんを置けばお湯を作って湯たんぽを温めることができます。日が暮れると室内は常時マイナス気温でしたから、湯たんぽを作って布団の中で縮こまることしかできませんでした。
懐中電灯
家の中に細かいガラスの破片が散らばっているのと、またいつ大きな揺れが来るか不安な中で、夜間の転倒リスクを避けるために必要です。停電になると夜は本当に真っ暗。トイレに行くために懐中電灯が必要でした。
ここで重要なのは、トイレが使えないので外で用を足す必要があるということです。
木造古民家ではトイレの汚水を外に排出する浄化槽がついており、今回の地震(隆起)の影響で排水できなくなってしまいました。その結果、糞尿が逆流して流れなくなってしまったのです。外は落ちた瓦やガラスが落ちていますから、トイレ時の転倒リスク対策として懐中電灯が必要でした。
カセットコンロ
役割は料理だけではありません。カセットコンロは極限状態でも自立した精神を保つために必要でした。地震が起こってから4日間くらいすると支援物資が届きます。この支援物資に依存する生活は本能的にヤバいと感じていました。普段は畑で採れた野菜と海から取ってきた海産物で暮らしていましたから、食事が全て加工品になる事は避けたかったのです。
私は漁師でもあるのでサザエなどの貝類を自給し、畑をやっているお隣さんから野菜を貰って料理し生活していました。
有事の前に備えよ
私の場合は灯油ストーブを持っていなかったので、分けて貰うことができて本当に助かりました。しかしこれは日々の関係ができていないと難しいです。あなたは有事にそのような相互扶助が発生する関係を持っていますか?真冬の震災は本当にハードル高いので、道具を備えておくことをお勧めします。