見出し画像

ガブっ

最近、人に噛みつきたい衝動が頻繁に訪れます。比喩的な噛みつきではなく、そのまんま、肉に噛みつくことと同じように、人を噛みたいのです。

もちろん誰かれ構わずというわけではありませんが…はて、なぜか。

ネットでさらっと検索したところ、様々な要因が出てきました。ストレス、不安の解消、愛情の確認、噛み心地が好き…全部で10個くらいでしょうか。心因性といったら大げさですが、まぁ精神の安定状態によるものみたいです。
正直、これらの何が要因なのかはわたしにとって重要ではありません。大体察しはつきますし、噛みたい欲求自体も抑えきれないほどのものでもありませんから。
書きたいことは、実際に噛んだらどうなるか、ということです。もっと言うと、噛んだらわたしの精神状態は安定するのか、ということ。

答えは、「安定しない」です。
わたしは自分の歯がコンニャクではないことを知っていますし、その歯が人に喰い込んだら痛いことは当たり前に想像できます。おそらくわたしは、噛んだ瞬間に相手の痛みを想像して快感よりも恐怖と申し訳なさでいっぱいになるでしょう。あと普通に相手にとっては恐怖です。下手すれば築いてきた関係を全て壊してしまうことになるので、その点においても相手を噛むことはできません。
では、甘噛みならどうなのか。確かに甘噛みで、かつ相手との合意さえあれば痛みを与えてたり、関係の破滅を恐れることは減るでしょう。しかし、駄目です。理由は簡単、甘噛みじゃあ満足できないからです。例え最初は満足できても、エスカレートして、それだけじゃ欲求不満になってしまうでしょう。腹ペコのとき、飴で凌ぐには限界があるのと同じことです。むしろ、中途半端に噛んだことによって、より噛みたい衝動は増していくのではないでしょうか。
そんなわけで、噛みたい衝動が理性に負けたとしても、求めている精神の安定は手に入りませんし、むしろ悪化さえします。噛みつきたい衝動を抑えるには、異なる方法で精神を安定ささるしかないのです。

と、頭ではわかっています。頭では。

それでも、噛みたいとやっぱり思ってしまいます。

柔らかそうなあの人の腹に、彼の首に、彼女の胸に、
どんな心地がするんだろう。

歪んでるなぁと自分でも思います。
人からは、大人びてるだとか、しっかりしてるだとか、サバサバしてるなんて言われますけれど、そう評した人たちは、今までの文を読んだらどう思うんでしょうね。大人びてて、しっかりしてて、サバサバしてるのも間違いない(他者の目から見た)わたしの一面ではありますけれど、噛みたいわたし、も同じように存在しています。そんな皮肉のような、自傷のような心境の人は、自分だけじゃないと知ってはいますが、だからといって簡単に手放せるものではなさそうです。
いつか、そうじゃなくなる日がきたりするんでしょうか。わからん。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?