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ーはじまりの日ー
その1
【場面:入学式当日・校門前】
春の柔らかな風が吹き抜ける朝、桜の花びらが舞い落ちる校門の前で、
俺――佐倉悠斗は深呼吸をした。今日から新しい生活が始まる。
ここは中高一貫校の神京学園。私立の中学校だ。
みんな中学生ながら受験をして入ってきている。
そして主人公となるのは
佐倉悠斗
これは彼の壮大な人生の話である。
中学に入ったら、サッカーはもうやらないと決めていた。小学校時代、怪我や試合に出られなかったことが積み重なり、サッカーをするのが嫌になったのだ。
【佐倉悠斗】 「はぁ……これからどうするかな。」
そんなことを考えていると、横から何かがぶつかってきた。
【???】 「うわっ、ごめん!」
不意に背中を押されるような感覚がして、体勢を崩しそうになった。
隣には、少し慌てた表情の少年がいた。
【佐倉悠斗】 「……いや、大丈夫。」
【???】 「ごめんごめん。いきなりぶつかっちまって。実はさっき、走ってたら誰かに押されてバランス崩してさ。」
そう言って苦笑する彼を見て、俺は少し肩の力を抜いた。
【佐倉悠斗】 「まあ、気をつけてね。」
【???】 「ほんとにな!あ、俺、相沢直哉!お前も新入生?」
どこか馴れ馴れしいが、明るい雰囲気の奴だった。
【佐倉悠斗】 「あぁ、そうだよ。」
【相沢直哉】 「へぇ、お前名前は?」
【佐倉悠斗】 「佐倉悠斗。」
【相沢直哉】 「悠斗か!お前、運動できそうな雰囲気あるよな。」
【佐倉悠斗】 「……そんなことないよ。」
少しばつが悪そうに言うと、直哉は首を傾げた。
【相沢直哉】 「そっか。でも、何かスポーツやってたろ?」
俺は答えを濁すように肩をすくめた。
【佐倉悠斗】 「まぁ、ちょっとだけな。」
【相沢直哉】 「そうなのか。俺もさ、小学校では野球やってたんだけど、何か違うなって思ってやめたんだよな。」
【佐倉悠斗】 「野球?」
【相沢直哉】 「そう。でも飽きたっていうか、もっと自分に合うもの探したくてさ。」
俺は少し驚いた。なんとなく、彼とは気が合いそうな気がした。
【相沢直哉】 「まだ部活決めてないなら、一緒に探してみねぇ?」
俺はしばらく黙っていたが、直哉の軽いノリが意外と心地よく感じた。
【佐倉悠斗】 「……まぁ、いいよ。」
こうして、新たな学校生活が始まった。
【場面:入学式・体育館】
入学式が始まり、俺たちは体育館に集まっていた。
壇上では校長先生が話をしているが、内容は正直頭に入ってこない。
【佐倉悠斗】 「……長いな。」
【相沢直哉】 「ほんとそれ。立ちっぱなしで眠くなってきた。」
前方では真面目に話を聞いている生徒もいれば、後ろの方ではこっそり話している奴らもいる。俺たちは中間くらいの位置にいた。
【校長先生】 「新しい環境で、自分の可能性を広げるために努力してください。」
話の締めくくりが見えた瞬間、体育館内が少しザワつく。
【相沢直哉】 「よし、あとちょっとだな!」
式の最後には、上級生の代表が新入生歓迎の挨拶をした。
【上級生代表】 「皆さん、ようこそ。新しい学校生活を楽しんでください!」
大きな拍手の中で入学式は終わり、俺たちはそれぞれのクラスに戻ることになった。
【場面:帰り道】
学校が終わり、俺は一人で帰ろうとした。けれども、またしても相沢直哉が隣にいた。
【相沢直哉】 「お前、一人で帰るのか?」
【佐倉悠斗】 「まぁ、そうだな。」
【相沢直哉】 「じゃあ、途中まで一緒に行くか!」
特に断る理由もなく、俺たちは並んで歩き始めた。
【相沢直哉】 「今日、緊張した?」
【佐倉悠斗】 「そこそこかな。」
【相沢直哉】 「俺は楽勝だったぜ!でもさ、クラスに面白そうな奴いっぱいいるよな。」
俺は少し考えてから頷いた。
【佐倉悠斗】 「確かにね……。」
【相沢直哉】 「明日から本格的に授業も始まるし、なんか楽しくなりそうじゃね?」
相沢直哉は屈託なく笑っていた。
俺はそんな彼の横顔を見ながら、小さく息をついた。
新しい生活が始まる。