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雨音の調べ
雨に情緒を感じるようになってからは、雨の日が少しだけ好きになった。
降る雨の煩わしさをわかっていても、季節ごとに趣が変わるのもまた楽しみだったりする。梅雨時のしっとり降り続ける雨や、突然の雨でアスファルトから香る匂いもまた悪くはない。
初夏を過ぎると庭先には花が色とりどりに咲いている。この頃は紫陽花も見頃を迎え、雨が降ると花もイキイキと映る。色や形もさまざまで、種類の多さには驚いたけど、散歩がてら見て歩くのも心地いい。
少しぐらいの雨ならば、この時期独特の情緒を感じるのもまた良い。
梅雨というと紫陽花が思い浮かぶけど、それ以外では立葵(タチアオイ)という植物がある。この植物は別名「梅雨葵(ツユアオイ)」と言って、入梅の頃に下の蕾から徐々に上へと咲いていき、梅雨明けの頃には頭頂部まで咲いて花期が終わることから、その呼び名がついたそう。雨と生態を関連づけてネーミングするところもまた感性だなと思う。
雨にまつわる言葉は他にもたくさんある。例えば、雨が降っていないのに雨が降る「樹雨(キサメ)」。これは木の葉や枝についた濃い霧が、やがて水滴となって雨のように滴り落ちることを表現する。
擬音や擬態を表すオノマトペでは、雨の降る様子を表しているものがいくつかある。「ぽつぽつ」「しとしと」「ざあざあ」など、その響きだけで、それぞれの情景がしっかり伝わってくるから不思議。
言葉の発する印象から音が聞こえてきたり、情景をイメージできたりと、雨ひとつとっても言葉はとても奥深いなと少し感慨に浸ってみる。
最後に、この時期ならではの和菓子、紫陽花を。