Underground
明日は休みだし... なんてヤワな気持ちで映画を観始めたのですが、冒頭で見出しのご尊顔に迎えられて面食らったという流れでございます。
作品名は『Underground(1995)』で、その絵面の破茶滅茶な具合と力強くもありつつ軽快な音楽は、直ぐに記憶の中の、『黒猫・白猫(1998)』と結び付いたのであります。
監督は矢張り同じでエミール・クストリッツァ。『黒猫一』を鑑賞したとき、大いに好みの作品であったにも関わらず、どうして見向きもしなかったのかは理解が及ばぬところではございますが、同監督を初めて認識したのは本作の冒頭であります。
正直なところ睡魔との抗争に打ち破れて(作品の関与しないところで)、終盤の二十分余りは未見でございます。ゆえに賛や否はおろか、その大枠すらも記せないわけではありますが、エネルギッシュであるとか情熱であるとか、熱気溢れる世界が描かれているのは確かでありましょう。
『黒猫一』では観られなかった、現実世界との邂逅が果たされる今作。大いなる実感を伴った喪失と、"地下 一 光の当たらぬ場所"という舞台設定の巧妙さは絶句ものでして、これらを描き切る(無論、私は見切っていませんが)監督の胆力と創作への信頼感には脱帽を禁じ得ませぬ。
そう。金沢のミュージックバーで隣り合わせた、蒼い目の異邦人はセルビアからやって来たと言っていたっけ。もう少し観るのが早ければ、本作についても喋れたかもしれない...