喜びに至るまでの
久しぶりにVan Morrisonに聴き浸る。
1968年に発表されたアムバム、『Astral Weeks』の8曲を繰り返し、繰り返し。浮遊的な、厭世的な、それでいて幽玄な彼の世界。スピリチュアルと形容される所以も理解できる。
彼に出会ったのは昨年観た映画『ベルファスト(2021)』だ。作品冒頭で流れる〈Down to Joy〉に、劇場スクリーンの世界と自身が融和してゆくのを感じた。
先述の『Astral Weeks』の収録曲にしても、〈Down to Joy〉をはじめとする明るい曲調のものも、彼の音楽の根底には「生きる活力」のようなものがあるような気がする。
聴いていて前を向ける、というようなものでは無いが。向いている方向が前だろうが後ろだろうが、或いは横だろうが。ただ、ただ下を向いていることはない。
そりゃあ人生にはいろいろあるもんです。過去を引き摺り、未来も不安で。一寸先は闇の中。その闇をより一層暗くするのは歩んできた道。そんなやり切れなさを知ってなお、この人生を肯定する。
私にとって彼の楽曲にはそんな力がある。切ない旋律、哀愁を帯びた声色の節々に感化される。こんなもんだよな、なんて切り替えて。今夜も明日も、それからも歩む。
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