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京散歩-修学院巡礼
午後から修学院エリアに足を運ぶ。曇りがちではあったが晴れ間が覗く時間も多く、快適に歩くことができた。
赤山禅院
御所の表鬼門の守護であり、赤山明神・都七福神の福禄寿神を祀る。延暦寺の塔頭のひとつでもあり、創建は仁和四年にまで遡る。
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参道を進み山門を潜ると大きな石灯篭が。無骨さと荘厳さは表裏一体を為す。
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屋根中央に鎮座するのは神猿。申の方位は西南西、つまり鬼門の反対であることから方位除けとして祀られる。網に囲われているのは夜中に暴れ出すからとのこと。
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猿といえば日吉社ですわね。最近では昨秋に訪れた〈新日吉神宮〉が記憶に新しい。こちらも網に囲われているな…
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そうそう、境内にはたくさんの社があるのだけれど。本殿のちょっと変わった狛犬だったり、相生社近くの絵馬であったり。気になるところが多い。
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始まりが天台宗で神様は道教で、そこに陰陽道や日本の神道、それに神仏習合も重なって。すごく面白い場所なのでは???秋には紅葉の名所にもなるそう。是非行きたい。
曼殊院
天台宗の門跡寺院。建築の様式や意匠から、〈小さな桂離宮〉とも称される。院内は庭園を除いて撮影禁止。作庭や間の分割などは勿論だが、展示されている品々がこれまた凄い。
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岸駒の襖絵〈孔雀の間〉から始まり、廊下を数歩進むといきなり現れる呉春の〈幽霊画〉が…怖い… さらには伝狩野永徳筆の襖絵〈虎の間〉など。
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絵ではない品々に関しては挙げきれないほど。国宝二点の複製(京博寄贈)や十数点を数える重要文化財など。お腹がいっぱいだ。当時の天皇や戦国三英傑の直筆もお目にかかることができる。
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各方面との深い繋がりを持っていたこの門跡寺院。明鏡止水、静寂が支配する庭を眺めながら、かつての栄華を偲ぶ。
圓光寺
慶長六年に徳川家康が圓光寺学校として開いた臨済宗南禅寺派の寺院。境内入ってすぐの枯山水に目を瞠る。いやはや、独特…
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〈奔龍庭〉と呼ばれている。流水音が聞こえるかのよう。滑らかに、そして静かに。龍を起こさぬように。
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この日の〈十牛之庭〉には緑もなければ紅も、そして白すらない。一糸纏わず風に吹かれる枝々の連なりが、見るものを寂寥とした世界に閉じ込める。あまりに寂しい。
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水琴窟の音色に救われる。庭園内に絶え間なく美を奏でる。来る芽吹きのときをこのまま座って待っているのもいいかもしれない。ほんの一瞬、そんなことを思った。
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襖絵は鉄斎、展示室には応挙の〈竹林図屏風〉も。今日は美術館か何かに来ているのか???
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境内の裏山には〈東照宮〉が。京都には珍しい。年末に〈金地院〉へ行くまでは、京都に東照宮はないとさえ思っていた。
そういえば『どうする家康』、初回しか観てないぜよ…
詩仙堂
詩仙堂は曹洞宗大本山永平寺の末寺であり、でこぼこな土地に建てられた住居という意で〈凹凸窠(おうとつか)〉とも称される。
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内外の境界が曖昧な住居、凹凸は特に感じない。と思いつつ回遊式の庭園を歩き出すと直ぐに分かる。斜面の真ん中に建てられているな、と。
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座敷から見る庭園は、丸っこいイメージが進んで目に飛び込んでくる。ゆえに温かい、優しい感触が。借景とでバランスがとれており、ふわりとした印象にまで至らない点もお見事。
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この詩仙堂、名の由縁は堂内の〈詩仙の間〉である。狩野探幽筆の中国宋代までの詩人三十六人の肖像画に、建立者でもある石川丈山自ら漢詩を記したものが掲げられている。あの林羅山も選定には関わったそうな。
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丈山関連は昨年訪れた〈渉成園〉と〈酬恩庵〉くらいかな。後者の方は詩仙堂とも似ていたり…
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今日はここまで。肝心の〈修学院離宮〉には行けてない... いや、90分拘束を知らなかったからさ... 次に来るなら車がいいな。