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子供との日々|娘の怒りとハンドクリーム
1日の終わり。お風呂から出てきた娘は、機嫌が悪い。どうやら双子の相方とお風呂場で喧嘩になったようだ。
「ねえ!先に出ないでって言ったでしょ!!」
どちらが先お風呂から出るか、そんな些細な事で喧嘩が始まった。いつものことである。そこで上手く喧嘩が収まれがいいが、大体の場合はそこからヒートアップしていく。仲裁に入る相手をも、敵とみなして攻撃することとなる。
その結果、家族みんなを攻め立て、一気にアウェイ状態を作ったMちゃん。苛立ちの中で自分を理解してもらえないことが悔しいのか、怒りをどこにぶつけていいのかわからず、感情に任せて、畳の床をドンドン!!と叩き続ける…
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はて、いつもの事とはいえ、どうしたものか….
心がカサカサして、どうしようもなく嫌気がさした。そんな時に目に留まったのが、先日友人からもらったハンドクリーム。大事にとってあったけど、使ってみようかな。
『まずは自分を大切に…』なんて、呪文のような、その言葉を頭に浮かべ、そっと手に甲にハンドクリームを塗った。
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ほんのり甘く、優しく香るそのハンドクリームに
カサカサした心がじわりじわりと潤っていく。
『あ、いいかも』
あまりにもいい香りだったから、ちょっと軽くなった心とハンドクリームを持って、裸でびちょびちょになったままの娘の元へ向かった。
『ハンドクリーム、いい匂いだよ。ちょっと気持ち落ち着くかな…?』スリスリと、娘の手にも塗ってみた。意外な行動に、びっくりしながらも、娘はちょっと口元をにニヤつかせて、ゆっくりとそのハンドクリームの香りに鼻を近づけた。
『いい匂い』そう答えると思ったら、『ごめんさない』想像もしていなかった言葉が、娘の口からポロリと出た。
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感情の扱い方は難しい。一度噴火した自分の怒りを鎮める術を、娘はまだ持ち合わせていない。だけどずっと前から、『ごめんなさい』のちょっとしたキッカケを実は探していたのかもしれない。