続ける秘訣って何だろう?
ほぼ毎朝。6時半に起き、田舎に住む父と母と私、オンラインで三人、ラジオ体操をする...こんな、なんともシュールな光景が、毎朝繰り広げられている。
なぜ今こんな事を突如暴露するかと言うと、この一連の日常が、思いも寄らぬ形で私の『習慣化』へと結びついていったから。
去年の夏、8月も半ば。田舎に住む母と父が、毎朝ラジオ体操をしてると聞いた娘は、もれなく『みーちゃんも一緒にやりたい!』と意気込んで言い放った。
『え...? あなたがやるって事は、もれなく私もですよね ....?』
母親の私は、少々怯む。だって、眠るのが大好きなんだもの。朝、6時半にラジオ体操って事は、6時起きですよね...そう心の中で思いながらも、娘の決意を無下にしたくない、そんな思いから我が家のラジオ体操はスタートした。
その後、娘は私の想像した以上に長い間、ラジオ体操を続けた。そんな娘の姿を見るのが嬉しくて、凄いなあ!とどこか誇らしくて、娘のそんな姿を見たくて続けてこれたのだ。
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しかし、半年ほど経つと、冬になり、起きる事がなかなか難しくなってきた。起きる事ができても、元気に朝から体を動かすのって結構大変。オマケに、私の父は朝から妙にテンションが高い。そんなテンションの高さに、娘はついていけなくなった。
そんな事は御構い無し!と私の父は娘に、『おい!元気がないな!!もっと元気に!ホラ!』と煽る。余計娘はやる気がなくなる。そして、娘はとうとう、ラジオ体操をやめた。ただ、一応毎朝起きてきて、ソファーにダラリと寝転がりながら、私と父と母が、ラジオ体操をしている横で毛布を被ってモゾモゾしている。
子供が出来なくても、周りがやり続けるスタンスを見せることで、また続けるきっかけになるかもしれない。さらに、親にとっても『子供のために』と思ってやると、意外と続くものです。
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そして私は、すっかりラジオ体操の辞め時が分からなくなった。『もう、娘もやらないし、やめよっっか?』そう一言、言いさえすれば終わるのだけど。ラジオ体操を続けているうちに、私の日常にその行為が、ジンワリと染み込んでいて、毎朝が心地よくスタートを切れる。体を動かし、田舎に住む父と母と、毎朝話をするようになる。
『今日も元気か〜?』
『庭で育てたサツマイモが、こんなに採れたよ』
そんな些細なことを、毎日少しだけ、話す。
『娘のために』
そんな想いがあったおかげで、1年半もの間、ほぼ毎日、ラジオ体操を続けられているのだ。それは思いがけない、娘からのプレゼント。
そのプレゼントのおかげで、以前よりも朝に随分と余裕が持てるようになった。
朝の隙間時間で、自分の好きなことをしたり、子供との会話にもゆとりが持てるようになった。めっきり連絡を取らなくなった両親とも、また会話をするきっかけができた。
習慣化は、自分ではない大切な誰かの為に。
そう思うと、意外とできる場合がある。
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今日もラジオ体操をする。
娘はソファーで横たわる。
でも、ちゃーんと6時半には、目をこすりながら起きてくる娘。
それだけでも、十分素晴らしいことだ。