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mani_ks
2015年6月8日 17:55
午後三時十五分。ぼくはさとの手をとって、二階のベランダへ向かう。 ぼくがガタつく窓を閉めている間に、さとはもう小さな踏み台に登っている。ベランダの手すりに何とか顎をのせて、視線だけをじっと道路に落とす。手すりの下の、柵の間から覗くのでは気に入らないらしい。 窓を閉め終えたぼくもさとの隣に立って、手すりに頬杖をつく。ベランダからだとすっかり見渡せる、家の前の細い道路には、路上駐車の車一台、人
2015年6月26日 16:30
広域科目Ⅰ 創作指導C 提出作品「あおみどりい」(原稿用紙換算三十七枚) 一. おじさんの家へ遊びに行った。 待ち合わせ場所は、南町の商店街を抜けてずっと行ったとこ。この前つぶれてしまったお菓子屋さんの、二つ先の電信柱の下だった。電信柱のうらっかわは、一面草が生えているだけの空き地で、道路の向い側も、赤い大きな看板がある以外は、やっぱりただの空き地。看板の文字は剥げていて、「河合不