毒虫(2007サークル冬合宿用)
「毒虫」
グレゴール・ザムザはある朝、なにやら胸騒ぐ夢がつづいて目覚めると、ベッドの中の自分が一匹のばかでかい毒虫に変わっていることに気がついた。
「いやはや!」ザムザは叫んだ。「これは困ったことになった!」
ザムザはおそるおそる、布団を体の上から取り除けた。その布団をつかむ手すら、名状しがたい姿に変貌している。ザムザはくらくらしてくる頭を軽く左右にゆすった。唾を飲みこむと、身体の中で、内臓から耳に突きぬけるような異音がはじけた。
薄い布団は、のろのろとベッド脇へ落ち