月と六文銭・第十四章(44)
田口静香の話は続いていた。厚労省での新薬承認を巡る不思議な事件の話に武田は引き込まれ、その先の展開に興味を示していた。
田口のカバー・高島都は、ターゲットであるネイサン・ウェインスタインが口に放ったものを飲み、この展開をうまく利用して彼から情報を引き出そうと考えた。
~ファラデーの揺り籠~(44)
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都は口を開いて、何も残っていないことを示した。
「ネイサン、満足?
アタシ、あなたのを全部飲んだわ」
ウェインスタインは愛しいと思った都の顔を両手で挟み、立ち上がらせ、深くキスした。
口に出された彼の精液を飲み下した行為の副次的効果として、ターゲットであるネイサン・ウェインスタインはアバンチュールの相手であるビジネスウーマンの高島都が大変献身的な女性であると印象づけた。普通のビジネスウーマンである都が口内発射させた点では、積極的とも取れるが、あくまでも受け身で、慎み深く、日本女性のイメージ通りだった。
「完全に僕の負けだ。2分持たなかったし、もう出したから、帰っちゃうの?」
約束は約束だ。しかも、半分の1分も持たなかったということは、もし都が本気を出したら、彼女の膣の動きで自分は"三こすり半"しか持たない可能性があるということではないのか?
ウェインスタインは早漏の代名詞"minute man"通り、1分しか持たなかった。都は米国にもいたからこの言葉の意味くらい知っているだろう。あぁ、はずかしい、早漏男になってしまったか。
"三こすり半"とは男性の早漏を指す批判的な言葉で、女性に挿入してから3、4回動いたら射精してしまうことを指していた。
英語で言うなら"minute man"(1分男)あたりか。挿入後1分しか持たない男と言う意味だ。
「あら、帰っちゃっていいの?
あなたは、私とエッチがしたくて、あなたの部屋まで連れてきたのよね?」
「そうだけど」
「約束を守るのは紳士的で素晴らしいけど、一度口説いておいて、たかが射精しちゃったくらいでオメオメと引き下がって、女性を置き去りにするのはどうかと思うわ」
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ウェインスタインは再び都にキスをして、彼女をハグした。
「もう一回チャレンジしてもいいか?(Can I try again?)」
「もちろん、しましょう!(Sure, let's do it!)」
なぜか都は「試す(try)」とか「やってみる」という言葉を使いたがらない。例のヨーダの言葉通り、「やるか、やらないか、だけだ。やってみる、はない」を使いたがる。ビジネスウーマンとしては結構実績を上げている女性なのだろう。
都はバスタブを出て、大きなタオルをウェインスタインに一つ渡し、自分は脚から拭き始めて、手早く全身を拭いた。棚から新しいタオルを取り、胸の上部にタオルの上辺を合わせて、体に巻いた。
振り向くとウェインスタインは全身を拭き終わり、腰にタオルを巻いていた。自分の欲望に正直なのか、タオルの前が勃起した男根で突き上げられているのを隠そうともしていなかった。
「しましょう、ネイサン!」
「はい、ミヤコ」
ウェインスタインは都を抱きしめ、そのまま抱き上げて、お姫様抱っこにして、バスルームを出た。
バスルームの扉が比較的大きくて良かったわ、と思ったが、抱きかかえられて通った時、頭はぶつからなかったが、足の指が扉の枠に軽く当たった。狭い扉だったら、ウェインスタインは都を振り回す感じで、通らないといけないところだっただろう。
都はベッドに下ろされるのかと思いきや、ベッドの前に立たされた。都が「?」と思っていると彼はベッドカバーをめくってから再度彼女を抱き上げ、そっとベッドに横たえた。
「来て!」
都は両手を広げて、ウェインスタインを招いた。彼は頷いて、キスをしながら彼女に被さって行った。
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始まるわ、ヴィッド!しっかり録画、録音、測定してるよね?!今日は取り敢えず、今回のラストチャンスよ、しっかりデータを録って、コイツの正体を掴もう!
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