月と六文銭・第十四章(31)
田口静香の話は続いていた。厚労省での新薬承認を巡る不思議な事件の話に武田は引き込まれ、その先の展開に興味を示していた。
高島都は流れに任せてネイサン・ウェインスタインと関係を持つことを避けたかった。触れられて濡れてはいたが、落ち着いて主導権を握りたかったので、一度シャワーを浴びる時間を確保しようとした。
~ファラデーの揺り籠~(31)
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ネイサンはここで一旦退却を決意した。もっと付き合いが深まったらプレイ的に一緒にシャワーに入るとかできるだろうけど、知り合ってまだ3日目、昨日セックスしたとはいえ、こちらから色々要求できるレベルまではいっていないと納得したのだ。
「せっかく体があったまったのに」
「ごめんなさい、ネイサンに舐めてほしいから、一度洗いたいの。いい?」
「うん、分かった」
「分かってくれて、ありがとう。すぐに出てくるわ」
都は手を添えて、丁寧にネイサンの手を自分の股間から外し、方向を変えながら胸を揉んでいる手も外した。そのまま振り返らずバスルームに入っていったが、ちょっとだけ首を出して、ネイサンに声を掛けた。
「ネイサンも入るでしょ?」
「そうだね」
「途中から来ていいよ」
「本当か?」
「うん、でも、バスルームではシャワーに入るだけよ」
「うん、分かった」
「じゃあ、少しリラックスして待ってて、声を掛けるから」
都はそういってバスルームに消えた。シャワーがザザッと出て、バシャバシャとあちらこちらを洗っているのではないかと想像できる音がしばらく続いた。
いつ呼ばれるんだろう。都は今どこを洗っているんだろう?そう思いながらベッドで待っていると、都から呼ばれた。
「ネ・イ・サン!」
「ミヤコ、呼んだ?」
「うん。もう来てもいいよ」
ネイサンは喜び勇んでベッドから腰を上げ、靴下を脱ぎながらバスルームに入っていった。
「どうぞ!」
ネイサンはバスルームに入ると、既に都はシャワーを出ていた。髪を上にまとめ、体にはタオルを巻いていて、鏡の前で歯を磨いていた。正直、かなりがっかりしたのだ。後ろから侵入しようと思っていたわけではないが、せめてシャワーの中で尻や胸を揉み、キスをして再びエンジンを掛けようと思っていたのに…。
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ミヤコはネイサンの気持ちを知ってか知らずか、鏡越しににっこり微笑んで、目で”バスタブはあっちよ”と示唆した。
ネイサンはパンツを脱ぎ、タブを跨いでお湯を出し始めた。
明らかに失望している顔つきだったので、都は立ち上がり、ネイサンに近づいた。
「ごめんなさい。分かっていたのよ、ネイサンの気持ち。でも、やっぱり直接見られるのが恥ずかしくて…」
「ううん、いいんだ」
「その代わり」
都はシャワーを停め、ネイサンにこちらを向かせた。彼の顔を引き寄せ、舌を入れながらキスをした。空いている手で彼のペニスが天を向くように丁寧にマッサージした。キスはうまいよね、ネイサン。そろそろ大丈夫かな。口を離し、上目遣いにネイサンを見つめた。
「ネイサン、元気を出して、今夜は頑張ってくれますか?」
都はネイサンのペニスを握ったまま、左手でバスタオルをはずし、ひざまずきながらネイサンのペニスを胸で挟んだ。ある程度胸が大きくないと出来ないパイズリを始めた。膣や手に比べ、ペニスに直接加えられる圧力は低いが、これはあくまでも視覚的効果の大きいプレイだった。
あぁあ、結局ネイサンとセックスプレイにしてるなぁ、私。せっかく純愛ごっこして、不倫の後ろめたさを演出しようとしたのに、結局不倫の楽しみは旦那とはできないセックスプレイができること、になっちゃうのかな。
都は胸の間から覗いているネイサンのペニスの先端に舌をつけ、鈴口をチロチロ舐めた。その刺激が尿道を伝わり、ネイサンの体がピクピク反応していた。
「ミヤコ、すごいです。こんなのは初めてです」
「日本はまだまだ奥が深い国ですよ」
「ミヤコのアソコも奥が深いよね」
都は目をパチパチさせて"え?そういうこと言うの?”という顔をした。
「いや、サイズじゃなくて、不思議な動きをするから」
ネイサンの「しまった!」という顔が可愛くて、都はどうやっていじめてやろうか頭の中でいろいろ考えていた。「意を決して初めて浮気した貞淑な人妻に向かって、そんな恥ずかしいことを言ったのだから、特製"寸止め地獄"を味わうがいい!」なんて考えてニンマリする都だった。
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