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天使と悪魔・聖アナスタシア学園(37)
第三十七章
~乙女の決意~
「ねぇ、今夜、ルキフェルBが私達を求めたら、どうするの?」
ユリはマサミが本当に大天使の求めに応じるのか、本気で心配なのだ。
「私は今朝、オリーブ油を調合したバスオイルを作っておいたわ。それを混ぜたお湯のお風呂で身を清め、新しい修道服だけを着て、ルキフェル様がどういう指示を出そうとそれに従うよ」
ユリはマサミをしばらく見つめていた。決意が固いのが目に力があることで分かる。昔からマサミはそうなのだ。
逆に、ユリが決断できないでいるのを、マサミには分かっていた。好きな男とせっかく結ばれたのに、それが問題のある状況を生み、今やそれを解消するため、悪魔かもしれない存在に身を任せることなんてしたくない、というのが本音だろう。
「私…」
「いいのよ、ルキフェル様に対して、これまでの話だけはちゃんとしてね。あとは私が引き受けるわ」
「でも、マサミは」
「ユリさえ黙っていてくれたら、私は結婚初夜まで、いや一生、このことを内緒にする自信があるから」
「そんな、私のために」
「ユリは大事な親友、心の友、永遠の友人よ。ルキフェル様に毎度言っていることは本当のこと、私の本当の気持ちなの」
「私だって大事な親友だと思っているよ」
「分かっているよ。だから、この状況をなんとかしよう!」
「うん、ありがとう!」
そう言ったものの、ユリはまだ動けずにいた。マサミの資料室で何度か天使と交わった女性の話を読み、不気味な挿絵を見て、天使も悪魔もそれほど違いがないのではないかと漠然と恐怖を感じていた。
時には天使のふりをした悪魔と交わった女性の話も読んだが、その後の展開が悲惨で、途中で本を閉じたこともあった。
今夜、自分たちが降霊で呼ぶのは自称・大天使ルキフェル、マサミがルキフェルBと呼ぶ方だ。残念ながら、本物かどうかは自分達には分からない。こちらが偽物かもしれないし、これまで自分たちが話してきた相手・ルキフェルAの方が偽物だったのかもしれない。そうなるとやはりユリの頭の中が混乱して、その先のことが考えられなくなってしまう。
<私たちが好きなアイドル、俳優、先生を求め、ルキフェルがそれを叶えてきてくれた。その見返りという意味では、これまでルキフェルは自分たちを直接求めてきたことはなかったな…>
しかし、今夜呼び寄せるルキフェルBは、初めからマサミに「身を捧げよ、その準備をしておけ」と伝えてきていた。一般的な感覚でいうと、こちらの方が人間と交わりたい、人間を堕落させたい悪魔のように思えるのだが…。
<私の感覚がおかしいのか、もう分からないわ>
これがユリの正直な思いだった。また、数秒ユリの動きが停まった。
<マサミがここまで自分のためにしてくれるというのに、私は何を悩んでいるの?一緒に頑張ろうって、今、言ったばかりじゃない!>
ユリは意を決して、マサミの居る風呂場に向かった。
「私も入るわ、オリーブ油のお風呂。新しい修道服、私の分もある?」
「あるよ。でも、大丈夫だから、無理はしないで」
「無理をしているのはどっちよ」
ユリは軽くマサミの上腕をグウで叩いて、服を脱ぎ始めた。
やや少女っぽい体型のマサミに比べ、ユリは成熟した女性らしい体型で胸が張っていて、腰も広くなっていた。降霊仲間ではゆり子が一番スタイルが良く、未希も優子も高校生にしては成熟していて、電車通学の途中で男性から見つめられることが幾度もあった。
一番失礼だったのが、ゆり子をアダルトビデオの女優が制服を着ているのと勘違いされ、ジロジロ見られたり、携帯電話で撮影されたりしたことだった。その時はマサミが相手に話して、携帯電話から録画した映像を消させたりした。
ただ、その時は夏服で、ゆり子はブラウスの下はブラジャーだけで、キャミソールをつけていなかったため、ブラジャーがかなり透けていたのは事実だ。撮影した男性にしてみたら、「透けブラを見せつけている」ように見えたらしいのだ。
それくらいゆり子は成熟した女性に見えたし、逆にリーダー的存在のマサミが一番少女っぽい雰囲気を保っていて、中等部の制服を着て中等部の建物をうろうろしても全く違和感がないだろうとユリたちは思っていた。
そんなマサミの体型・姿もあって、今回ルキフェルに求められたら、体格が二倍くらいのマッチョな男性に犯されている少女のように見えてしまうだろう、とユリは心配した。
いろいろな意味でユリは複雑な思いをしていたが、一度決意したので、たとえ数時間に及んだとしても、ルキフェルを受け入れ、彼の要求に応えようと決心をした。
<私は何人も経験があるから、まぁ、一度の我慢だと思えばいい。しかし、経験のないマサミにかなり辛い行為になるはずだ。本当に大丈夫なのかな?私の問題なのだから、私がルキフェルの前に進んで彼の要求を受け入れるべきよね?できればマサミがしないでもいいようにしてあげなくちゃ>
「ねぇ、ユリ、何を考えているの?私のことが心配なの?」
ユリはハッとして、我に返り、ボディタオルで体を濯ぎ、湯船に入った。
<マサミと一緒にお風呂に入ったのは修学旅行以来じゃないかしら>
「え、心配に決まっているじゃん。しかも私のために」
「ルキフェル様を呼び出したのは私。願い事をお願いしているのも私。だから、怖くはないわ。もちろん緊張はしているよ。それに、普通の人には言えないけど、私の初めての人が、まぁ、人じゃないけど、双子の大天使のうちの一人なのよ。日本広しと言えど、初体験の相手が大天使だったという女子高生は私くらいのものでしょ?!」
<明るく振舞って緊張感を和らげようとしているの?>
「ユリ」
マサミが手を伸ばしてきたので、ユリはその手を握った。震えていた。すごい速さでマサミの手が震えていた。マサミがこんなに緊張したいるのを見たことがない、とユリは思った。いつも楽観的で、ポジティブな姿勢で難しい局面も乗り切ってきたのに、多分、今回はどうしたらいいのか思いつかないの?いや、選択肢がないのだから、緊張しているのだろう。
「大丈夫よ」
ユリのこの言葉を受けて、マサミはコクンと頷いた。
「ルキフェル様に任せればいいよね?今回も正しい方向に導いてくれるよね?」
「同じルキフェルかは分からないけど、ルキフェルは私たちを正しく導いてくれるために来てくれたよね、これまで?それが降霊の会をやってきた意味よね?」
「うん、そう。そうだよね」
「二人でいたら大丈夫よ、絶対」
マサミは何故か金融の授業を思い出していた。今年から始まった外部講師による『社会人への準備』講座の中の「お金の話」を担当している武田先生は「『絶対』などということはないと考えてください」と授業で説明していた。
私が"初めて"するのは"絶対"未来の旦那様になる人と決めているけれど、そうでなければあの外部講師が良かったかな。背は高くないけど、なんかダンディなオジサマって感じの人だった。
「あん、どこ触ってるの?」
「マサミのおっぱい、柔らかいよね」
「ははは、今頃、知ったか!ユリには大きさでは勝てないけど、柔らかさでは負けないよ」
「そうね、なんかいい感じよね」
「ねぇ、ユリってそういう趣味があったの?」
「え、ないよ。でも久しぶりに見たら、柔らかそうだったから」
「それを言うなら、ユリのは結構ずっしりよね」
「うん、私の胸、なんか西洋人タイプらしい。弾力があるタイプ。ゆり子のは日本人タイプで柔らかくてフワフワってしてて、触り心地がいいんだよね」
「そうなの?」
「うん、修学旅行で触ってみたけど、あれはずっと揉んでいたい感じの不思議な感覚だったよ」
「確かに柔らかそうだよね、ゆり子の胸」
「優子も未希も結構、胸が大きくて綺麗なのよね」
「え、じゃあ、小さいのは私だけ?」
「マサミ、小さくないよ、ただ、人によって胸の形や見た感じが違うだけだよ」
「そうかなぁ?」
「洗って、出よう。降霊の時間、もうすぐよね?」
「そうね」
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