月と六文銭・第十四章(13)<先行公開>
田口静香の話は続いていた。厚労省での新薬承認を巡る不思議な事件の話に武田は引き込まれ、その先の展開に興味を示していた。
パイザーのスペシャリスト・ウェインスタインは握手だけで友田補佐を殺し、見つめただけで服部事務官の体に変化を与えた。果たしてウェインスタインはどうやってこれらのことをやり遂げたのか?
~ファラデーの揺り籠~(13)
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パイザー・ヘルス&メディカルズ社・上級副社長のオイデンとプロダクト・スペシャリストのウェインスタインが厚労省交渉の担当で、薬事審議会事務局かつ新薬承認申請の窓口だったのが、死んだ友田補佐と服部事務官。
服部は、あのマネージャーと名乗ったウェインスタインに見つめられた時から目の周りが熱くなり、「自分の女性の部分がかっと熱くなり、快感が背筋を駆け上り、立ち上がった瞬間にウッとなった」ことにびっくりしていた。
ボーイフレンドとの行為でもなかなかイけないのに、触れられてもいないのにイってしまったことを恥ずかしく思い、金曜の晩の帰宅後、ボーイフレンドにイくまで舌も手も長時間使ってもらい、入れてからもかなり頑張ってもらった。なんとかイくことができたのだが、会議室で経験したあのイく感覚とは程遠かったようだ。
彼女は月曜に出勤してから地下階にあるクリニックに行き、少し前から貧血の相談に乗ってもらっていた看護師の高島都に、金曜日にこんなことがあった、と相談してみたのだ。
高島のアドバイスは、まず実態を把握した方が良いということだったので、スマートウォッチから心拍数などのデータを携帯電話に記録するアプリを入れて、どんな時にそうなるのか記録してみることにした。真面目な服部は実際にその直後から記録を取り始めていた。
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