(22)シン・マンガのマンガ／マンガ表現研究編　『ビジュアル言語による表現』と『文章だけによる表現』って具体的にどう違うのか？

「ビジュアル言語」に関して解説を繰り返して来ましたが、文章だけの説明では理解していただくのは難しいだろうなぁ・・という不安があります。

良い解説方法を思いついたので、記事を作ってみました。

『文章で書かれたストーリー』と『ビジュアル言語で描かれたストーリー』を比べてもらうと、一目瞭然でその差を理解していただけるのではないか・・です。

ストーリーは伝わっても、伝わり方がこれほど「異質」なものなのかの判断をしていただきたいのです。
以前から「マンガとしての面白い表現」という言い方しかできなかったのですが、こういう比較は有効だと思います。

まず、マンガを描く際に自分でシナリオ風に書いた文章によるストーリーです。

ーーーーーーーーーー怪魍綺譚／第３話ーーーーーーーーーー

『心霊写真』

木がうっそうとした公園の林の一角に人の顔のようなものがぼんやり映っ
た一枚の心霊写真を見ている主人公・ムラサキと親友の知美。
学校で、知美の入っている写真部室にいる二人。

主人公「映っているね。」
知美　「すごいでしょ。これを撮った先輩の提案で、今年の発表会のテーマは心霊写真に決まったのよ。」
主人公「心霊写真・・・。」
知美　「ムラサキ、時々変なものが見えるって言ってたじゃない。
　　　　きっと霊感があるんだよ。
　　　　ね、協力してくれないかな。」
主人公「わ、私、そういうの苦手なんだけど・・・・。」
知美　「わたし、今年こそトップ賞を狙ってるんだ。おねがい。
　　　　親友を助けて。」

手を合わせて哀願する知美。

＊

木がうっそうとした公園にやって来た二人。