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【週刊連載漫画企画】第4話 大事なのは絵?キャラ?話? 漫画賞に受賞する読切の作り方とは!? #読切のシラバス


こんにちは!
漫画編集者志望の東大生カキョウと申します。

同じくこんにちは!
漫画家志望の神杉 かみすぎ名戸理 なとりと申します。

お読みいただきありがとうございます!
毎週土曜日更新note「#読切のシラバス」

第4話目です!!

この週刊連載漫画企画noteでは!
学生漫画編集者志望📕学生漫画家志望✒️のタッグが!!

週刊少年マガジンの漫画賞「マガジンライズ」(10月31日締切)
ゴールド賞を目指して作る読切の制作過程を公開しつつ、これから漫画賞に応募しようと思っている新人漫画家さん向けに「受賞する読切の作り方」のヒントを提供します!

今回はそんな週刊連載漫画企画の
第4話
「 大事なのは絵?キャラ?話? 漫画賞に受賞する読切の作り方とは!?」

です!!

第4話の概要
第4話では
漫画賞受賞作を含めて700本以上の読切を読んだ私が考える漫画賞に受賞する読切において、「絵」,「キャラ」,「話」のどれが大事か述べていきます!
その上で漫画賞を受賞する読切のおすすめの作り方についても語っていきます!!

※全てあくまで個人的な意見ですので納得できるところだけ参考にしてください!(主に少年漫画賞についてです)

週刊連載漫画企画「 #読切のシラバス 」は
漫画家志望の方も、そうでない方も楽しめるnote企画ですので、
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私:@rextuku1
神杉名戸理さん:@natori_too_god

↓これまでの話はこちら



結論

先に結論から言っておきましょう。
全て大事であることは大前提という保険はかけさせてもらった上で
結論はこちらです!

  • 少年漫画の賞で大事なのは「キャラ>絵(画)>ストーリー」

  • おすすめは「斬新な画」から逆算する作り方

では、この理由について話す前に漫画家志望さんが漫画賞について抱きがちな3つの誤解について紹介していきます

■漫画賞についての3つの誤解

基本的にこの3つの誤解が生まれるのは、審査員である編集部の観点が抜けているからだと思います。

①話のオチに拘るのは重要ではない

編集部が漫画賞で取りたい作家は最終的に「連載につながる作家」です。なので、読切としていくら面白いオチだったとしても、そこから連載に繋がる片鱗が見えなければ受賞できません。

例えば読者を驚かせるためだけに

  • 大どんでん返し

  • バッドエンド

をオチにするのは、読切として話は面白くなりますが、連載に繋がるかっていうと微妙ですよね。(もちろん面白ければ評価されますが)
特に読切という限られたページ数においては、伏線を張らずにいきなり大どんでん返ししがちで、かえって話を作る能力がないと思われかねないです。
そもそも、読切オチ構成は大抵の場合連載には活かせません。
連載に活かせるのは、「」と「キャラ」と「設定」です。
オチなんてある程度区切りが付いてればいいんです。

これについては現少年ジャンプの副編集長である斎藤さんも以前この記事で

起承転結や三幕構成、その他もろもろのストーリーテクニックは…いりません!

なぜなら、これらを「〇ページに転をもってきて…」とガチガチに考えながら読切を描くことは大変です。そもそも、読切漫画の短い尺にこれらの構成を当てはめるのは難易度が高く、そして構成が起承転結にはまったとしても、漫画として面白いかは別問題であることが多いです。特に新人さんの作品は、「構成が整っているか」より粗削りでもパワーがあるものを編集部は評価するところがあります。

この記事

こう述べています。

構成やオチに拘るよりかは、斬新な設定や物語の見せ場に拘りましょう!

※少年ジャンプ+の読切において、「大どんでん返し」や「バッドエンド」をオチとして使っている作家さんもいますが、彼らはすでにデビュー済みで「読者」を対象に作っています。漫画賞に応募する読切は「編集者」を対象に作るべきです。オチでしか驚かせることができないと「編集者」に思われるのは得策ではないです。

②早く描けたかどうかは評価されない

「連載につながるかどうかを見られてるなら、「描く速さ」も評価されるのでは?」と誤解されがちですが、これは間違いです。
そもそも漫画賞の応募フォームに「描くのに何ヶ月かかったか」を書く欄はないです。
理由は簡単です。真偽を確かめようがないからです。
「1ヶ月で50ページ描きました!」と書いてあったとしても、本当かどうかなんて編集者から見たら分かりません。

だから
1ヶ月で描いたから多少でもスピードを考慮して評価されるなんてことはないんです。
何度出しても賞が取れずに悩んでいる人は一度数ヶ月以上かけて、本気で描き込んだ漫画を投稿してみましょう。

最新の第91回新人コミック大賞審査員総評で、『名探偵コナン』の青山先生もおっしゃっていましたが

特に「背景」の描き込みが新人さんは少ないらしいので、そこを描き込むだけでも差が出そうです!

③絵の上手さより「画」の面白さ

実は1番の誤解ポイントは
「絵が上手くなければ受賞できないのでは?」
です。
もちろん絵が上手い方は評価されます。
なぜなら世の中、を作れる人はたくさんいますが、を描ける人はほとんどいないからです。多少話作りが苦手でも、「作画担当」としても活躍できるので、絵が上手い人は受賞しやすいです。

ただし、絵が下手でも受賞できないわけではないです。

例えば新世界漫画賞で準入選をとったこの作品です。
失礼ながら、この作者さんは絵は上手い方ではないと思います。
しかし「」としては圧倒的に面白いです。

つまり、絵が下手でも、「画」が面白ければ受賞する可能性があるわけですね!

最低限の画力さえある人は「画」次第で絶対漫画賞獲れます!
「絵」と「画」は何が違うのかは後ほど説明しますね!


■受賞に大事なのは「キャラ>絵(画)>ストーリー」

先ほども言った通り、漫画賞は「連載につながる作家」を発掘するために設定されています。
だから、いくら読切として話の完成度が高くても、連載につながる部分である「キャラ」が弱かったり、「」が面白くなかったら評価は低くなります。

要するに私が考える
受賞に大事な順番の
「キャラ>絵(画)>ストーリー」
とは読切から連載に活かせる要素の順番なわけです。

ストーリーの構成に関しては受賞したら

編集者がついて、一緒に考えてくれるのでそこまで現時点で拘る必要はないです。
とにかく「ストーリー」よりも「キャラ」と「」を斬新で面白くするようにしてください。
それが結局ストーリーの面白さにもつながります。

■斬新な「画」から読切漫画は作れ!

編集部が1番求めているのはいつの時代も「今までにないような斬新な漫画」です。
実際、漫画賞の受賞作を読んでみると「斬新な画」,「斬新なキャラ」,「斬新なストーリー」のいずれかを満たしている作品ばかりです。

ではどうしたらそういった斬新な漫画を作れるようになるのでしょうか?

まず「斬新なキャラ」を思いつくのはベテラン漫画家さんでさえ難しいと言っています。そもそもキャラ自体作るのが難しいのに、斬新なキャラを考えるなんてほとんど不可能です。

また「斬新なストーリー」も、これだけ多くの漫画がすでに世に出回っている中で、「誰とも被らないストーリー」を思いつくのは難しいでしょう。

しかし「斬新な画」はどうでしょうか?

ここで「画」について説明すると

エヴァ風

です。
つまり「」が斬新とは「状況」が斬新というわけです。
状況」と聞くと、ストーリーのような「複雑な設定」を考えなきゃいけないと思いがちですが、そんなことはないです。

設定」を考えるのには整合性が必要ですが、「状況」を考えるのには整合性はいらないです。
一旦整合性は無視してとにかく面白い状況を考えてみましょう!


実際に私が考えた面白い状況をいくつか紹介します

  • 南極巨大な絵を描く

  • ピラミッドの頂上からスケボーでかけ降りる

  • 全ての魚がドクターフィッシュのように足に擦り寄ってくる

どうです?ちょっと面白そうでしょ?

たまに見る変な夢とかでも良いと思います。

こういった面白い状況1つくらいみんな考えたことあるでしょ!?
それを漫画にしちゃいましょうよ!!
っていうのが私の主張です。

具体的な作り方

以上を踏まえて
私が考える斬新な漫画の作り方はこちらです。

  1. 整合性を無視して面白い「画」を考える

  2. その「画」がクライマックスとなるようにストーリーを逆算して考える

  3. ストーリーに合うようなキャラを考える

要約すると
面白い「画」に向かって逆算的にストーリーの整合性を合わせる作り方」ですね。

ちょっと上の例でいう「南極巨大な絵を描く」をクライマックスの見開きとした場合、どう考えていくのか紹介します。

主人公が南極で絵を描く(クライマックス)
→そもそも南極に主人公が行く必要がある
→南極に行くには数百万円かかる
→相当強い思いがないと南極に行かない
→主人公は南極で死のうと思っている
→主人公には死に追い込まれるほど嫌なことがあった
→南極で絵を描くということは主人公は絵を描ける
絵に関して何か嫌なことがあったのでは…

大まかな流れ:に関して嫌なことがあった主人公が、南極自殺しようと向かったが、なんやかんやあって南極で絵を描くことになった話

なんやかんやな部分も実は考えているので今後書くかも

どうです?ちょっとやり方がイメージできましたか?

参考作品

確証はないのですが、私が読んできた漫画賞受賞作の中でも
「これは「面白い画」から逆算して作ってるのでは…?」
と思った作品があるので、そのうち3つ紹介します。
何となく雰囲気を掴んで欲しいです。

①曇天を穿つ

この作品は41,42 ページの見開きの
「雲を気球で突き抜けて太陽を初めて見る画」
から逆算してると思います。

②PLAY OF COLOR

この作品は34ページ目の
「透明人間が絵の具を被ることで姿が見える画」
から逆算してると思います。

③偶像

この作品はやや話寄りかもですがやはり48,49ページの
お客さん0人のステージなのに笑顔のアイドルの画」
から逆算して作ってるのではと思います。

以上3作品を読んで「画」から作る漫画作りを参考にしてください!


まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございました。

斬新な話
キャラを考えるのは大変ですが
斬新な面白い見開きの画」を考えるのは、それに比べるとできそうな気がしませんか?
大手の漫画賞には100作以上応募作が来ます。
そんな中で「1つ面白い画」があるだけで、読んだ後の印象の残り方が全然違います。

多少整合性が合わなかったり構成がチグハグでも、とにかく今までにないような面白い「画」を見せるつもりで描かれた漫画が、私は1番受賞すると思っています。

ぜひ、一度試してみてはいかがでしょうか!?

以上
第4話
「 大事なのは絵?キャラ?話? 漫画賞に受賞する読切の作り方とは!?」

でした!


■今後のnote更新予定

約5000字書きました!大学のレポート並みです!

次回更新予定日:7月29日(土)
第5話:企画会議公開!編集者VS漫画家でバトル発生!?

次回は
今回の企画で制作する読切の企画会議様子を公開します。
その中で編集者の私と漫画家の神杉さんの間で若干対立が生じたので、それが生じた原因とどういう結果になったのか紹介します。
恐らく今後担当がついた際に、100回も200回もこういった対立は起きるのでぜひ参考にしてください!

↓5話更新されました!ぜひ続けてお読みください😊


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神杉名戸理さん:@natori_too_god
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それでは来週土曜日に公開予定の5話でまたお会いしましょう!!

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