【雨が好きになる】〜梅雨にこそ、読みたい!漫画4選〜
今年も梅雨が始まりましたね。
今回は晴れ間も多くて、「本当に梅雨?」と思いながら過ごしています。
そして毎年早く終わってくれればいいのに、そうもいかないのが梅雨。
厄介ですね〜笑
それでも、今年は梅雨を好きになれそうだなぁと思った出来事があったんです。
それは「催花雨」という言葉との出会いでした。
雨の日々が続くと憂鬱な気分になりますが、言葉を知ると雨も楽しみになってきました。だって、この雨の日を乗り越えれば、自然が豊かで、太陽の光が眩しい、キラキラの夏がやってくるんだから!
そんなワクワクした気持ちをみなさんにも共有したい!と思い、今回は、きっと雨が好きになる!梅雨にこそ読みたい、漫画5選を紹介します!
※紹介する作品の一部ネタバレを含みます。ご注意ください。
そこにいていいよって言われてる気がする
『町田くんの世界』安藤ゆき
【あらすじ】
物静かでメガネ。そんな外見とは裏腹に成績は中の下。アナログ人間で不器用。なのに運動神経は見た目通りの町田くん。
得意なことが何もないと本人は思ってますが周りからは愛されています。
その理由とは…?
【ここがいいんです…】
5人兄弟の長男として生まれた町田一(はじめ)くん。
彼の言動は優しさでいっぱい。関わる全ての人の心を温かくします。もちろん、読者の私たちも。
例えば、野球部がキャッチミスしたボールが頭に当たっても、怒らずに「レギュラー入りしたんだよね。おめでとう」とボールを拾って投げ返すんです…。
温かいスープを飲んだ時みたい心がじんわりほぐれて、きゅんとしちゃう。(コマの端っこできゅんってなってる登場人物たちも可愛いので、隅々まで見てほしい!!)
中学校のときにクラスメイトからのいじめを受けたことで、人と関わるのが苦手になってしまった女の子・猪原さん。
彼女が町田くんに少しずつ心を開いていくなかで、好きなものを教えるときに言ったセリフ。
家にも学校にも居場所がないと思っていた彼女にとって、雨は居場所を作ってくれる存在。雨のやさしさを感じることができる一コマですね。
恵みの雨なんて言うけれど、髪はボサボサになる、なんか気分もどんより。どこが恵みなんだか。と思っていた私。
いつも忙しなく動く自分に「今日はゆっくりしな〜」と、ブレーキのような存在になってくれてるのかなと思うと、確かに恵みだわ。と新たな発見をくれました。
力強く、まっすぐと。
『燕のはさみ』松本水星
【あらすじ】
時は大正。東京・銀座でただひとり、
女理髪師として腕をふるう少女がいた。彼女の名前は燕。
近所のやんちゃ坊主から、訳ありの御華族様の頭まで、
綺麗に仕上げてみせましょう!
新鋭・松本水星が描く、16歳の天才女理髪師。その成長譚!
【ここがいいんです…】
雑誌に載っている最先端の髪型をしている紳士を街で見かけた燕は、紳士の髪型はどう作られてるのか(髪の短さや切り方)を知りたくて、雷雲が近づく中追いかけるも、なかなか追いつかない…。
雨が降り出しても追った甲斐あって追いつくが、着物は泥で汚れ、髪も乱れた姿に「女のくせにみっともない」と言われてしまう。
それに対して、沈むことなく、紳士の髪型を再現するための方法をつぶやきながら帰路につく。
雷が鳴るくらいの強い雨を見ながら、「燕ちゃんっぽいなぁ」と感じました。
強い雨ってさしている傘を突き破ってくるような威力で、まっすぐ降ってきますよね。それが、彼女のまっすぐさを表現しているなと思うんです。
髪を切る技術を磨くため、雑誌を見るだけではわからない短さや切り方をおじさんを追いかけてまで知ろうとする。そのプロ意識と、向上心には脱帽です。
雨にはネガティブなイメージを抱きがちですが、燕の姿を重ねて見ると、なんだか親近感が湧いてきませんか?
雨界の王様- キャッチ・ザ・レインボー -
『STEEL BALL RUN』荒木飛呂彦
【あらすじ】
1890年、アメリカで世紀の大レース『SBR(スティール・ボール・ラン)』が開催された。総距離約6,000km、人類史上初の乗馬による北米大陸横断レースである! 優勝賞金5千万ドル(60億円)をめざし、屈強な冒険者たちの戦いが今始まった!
【ここがいんです…】
ジョジョ第7部。ジョジョを読んだことない人にもおすすめです。
(理由はまた違うnoteで書かせてください、、、!!)
キャッチ・ザ・レインボーというスタンド*は、ブラックモアが主人です。(作中では本体と言うことが多いです)
彼は、雨を空中に固定する能力を持っています。雨を空中に固定すると、雨粒の上を歩いたり、固定した雨で敵を切り裂く攻撃もできちゃうんです!!雨粒の上を歩くシーンは綺麗で、バトルシーンは激しい雨の振動が手に伝わってるような躍動感が伝わってきます。
また雨の中であれば自由に移動できるだけじゃなく、自分の体をわざと雨粒にぶつけてバラバラにして、再度組み立てるという特殊能力を持っています。(そんなことまでできちゃうの!?と驚きの連続…)バラバラにした体は、遠隔操作することができるため、手を分離させて相手を掴んだり、口を分離させて相手に噛みついたりもできます。
雨が降っている世界では、彼は最強。
そんな彼だからこそ、雨界の王様という名を(勝手に)授けています。
彼のように雨を制御することができたら、雨の日が待ち遠しくなっちゃいますよね〜
雨上がりのからっとした空気が好きになる
『恋は雨上がりのように』眉月じゅん
【あらすじ】
橘あきら17歳。高校2年生。
感情表現が不器用な彼女が、密かに想いを寄せる相手はバイト先のファミレス店長・近藤正己45歳。
青春の交差点で立ち止まったままの彼女と、人生の折り返し地点にさしかかった彼が織りなす小さな恋のものがたり、開幕。
【ここがいいんです…】
歳の差恋愛って漫画だとよく描かれる題材ですが、最終巻を読み終わって閉じた時、こんなにも爽やかな気持ちになる作品は今までなかったです。
雨上がりのように爽やかな風が吹き、カラッとした空気に変わる。
今までこの空気の変化を肌や目、匂いなど五感で感じていたけれど、心が空気の変化を味わう。そんな今までにない体験ができるのも、推しポイントです。
変化を味わえる理由はきっと、あきらと店長の心理描写が繊細に描かれているからだと思います。あきらに告白された後、店長はあきらの隣にいる自分を45歳の自分ではなく、17歳の自分だったらと想像するシーンが多々出てきます。
そう、あきらの青春に自分の青春を重ねているような。
例えば、あきらに告白をされ、返事をするため立ち寄った公園の大きな木の下にて。
自分の言動であきらの心が動くことに嬉しい気持ちがありながらも、あきらの青春と自分の青春を分けて考え、その場に留まる。
「若さ」をキーワードに一線を引く店長。
でも、彼らを見ていて思うんです。青春って学生だけの特権なんだろうか、と。
店長の自宅の描写で、まだ夢を追いかけ、諦めていない店長の心中を表現しているコマがあります。ともに夢を失いかけているあきらと店長。この2人の行動は、人生において大切なのは、夢を叶えることではなく、夢を持ち続け、諦めずに追い続けることだということが伝わってきて、胸が熱くなります。
梅雨そろそろ明けるぞって時に読んでほしい作品です。
最後に
公開日として選んだ6月21日
実は、『恋は雨上がりのように』の主人公・橘あきらのお誕生日なんです。
夢と現実の狭間でもがいているとき、雲が厚い梅雨の空のように、先が見えない。光も遮られてしまって、希望が絶たれそうになる。
それでも、店長との出会い、親友との繋がりが彼女の心に傘をさします。
ラストシーンのあきらが晴天の日に傘をさして笑顔で新たなスタートをきれたように、このnoteを読んでくださったあなたにも、素敵な日々が訪れますように。
ライター:鶴田