あなたに首ったけ顛末記<その16・隠者のランプは己を照らす>【小説】
あなたに首ったけ顛末記<その16>
◇◇ 隠者のランプは己を照らす ◇◇
(18900字)
<1>水野春臣はフリーズする
(5700字)
「はじめまして。十緒子の父、アダチ……いや、ミサキゲン、です。水野春臣くん、だよね?」
十緒子のアパートの部屋の、すぐ外。玄関ドアに背を預け十緒子の帰りを待っていた、はじめは御崎家の使用人だと名乗った男。
さっきまでの、二人のやり取り……十緒子が男にすがりつき、顔を食い入るように見上げて『おとーさん、だよね?』と言い、男