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FIRE後の感情の変化:日曜の憂鬱から平らな日常へ

FIREを達成し、会社員生活から解放されたとき、真っ先に感じたのは「日曜夕方の憂鬱さが全くなくなった」という解放感だった。あの、次の日から仕事が始まることを考えて気分が沈む感覚が完全に消え去ったのだ。これは当初、とても嬉しい変化だった。

しかし、時間が経つにつれ気づいたのは、平穏で安定した日常には「日々のメリハリ」が失われやすいということだった。金曜や土曜の清々しさ、長期休みを楽しみに待つ気持ち――それらも同時に消えていた


FIRE後の平らな日常:喜びも悲しみも穏やかに

会社員時代は、忙しい日々の中に明確な「区切り」があった。週末の訪れにホッとし、金曜の夜には心が弾んだ。土曜は趣味や家族との時間を思い切り楽しみ、日曜の昼過ぎには「ああ、明日から仕事だ」と少しずつ憂鬱さが忍び寄る――そんなメリハリのある感情の波が日々を彩っていた。

ところが、FIRE後の日々は、そのような感情の波が極めて小さくなる。嬉しいこともあるが、その喜びは静かで穏やかなもの。一方で、大きなストレスや悲しみも少ない。感情が平らになったような感覚が広がる。

これは最初こそ「安定した幸福感」として歓迎すべきものに思えたが、やがて「少し物足りない」と感じることも増えてきた。


日曜夜の憂鬱が懐かしくなる不思議な感覚

不思議なことに、時折、会社員時代の「日曜の夜」を懐かしく思う自分がいる。あの、明日からの仕事に対する少しの憂鬱さ――それは確かにストレスの一種だったが、同時に「これから頑張るぞ」という前向きな緊張感をもたらしていた。

特に、会社員時代の大きなプロジェクトやプレゼンを控えた日曜夜には、緊張と期待が入り混じった複雑な感情があった。その感覚が今では完全に失われているのだ。


月曜朝のアラームが生む錯覚

FIRE後、こんな出来事があった。ある月曜の朝、いつも通りに起きようとしたとき、何かに違和感を覚えた。目覚まし時計を見ていると、ふと「あれ?今日は仕事じゃないんだっけ?」と思い、混乱したのだ。

しばらくして「そうか、自分はもうFIREしているんだ」と気づき、ベッドの中で笑ってしまった。この経験を通じて、自分がどれほど会社員時代のルーチンに縛られていたかを実感した。

ところが、それ以来、月曜の朝がなんだか寂しく感じられるようになった。あの「慌ただしいスタートを切る感覚」が恋しくなる日があるのだ。


会社員時代に感じていた「特別な瞬間」

会社員時代には、日々のストレスが確かにあったが、それによって「特別な瞬間」を感じることもできていた。たとえば、忙しい業務の中でプロジェクトが成功した瞬間や、同僚との達成感を共有する瞬間。そういった「ハイライト」が日常を彩っていた。

また、会社の仲間と金曜夜に飲みに行ったり、土曜に完全にリラックスした時間を過ごしたりすることも特別だった。それらは「頑張ったご褒美」という意味合いを持ち、自分にとって貴重な時間だったことに気づく。


平らな日常をどう楽しむか

FIRE後の平らな日常をどう楽しむか――これが一つの大きなテーマとなる。

FIREを達成する前は、仕事から解放されればすべてが楽しくなると思っていた。しかし、実際には、日常に目標やメリハリを持たなければ、単調で物足りない感覚に陥ることがある。

以下の方法で、自分なりにこの課題に取り組んでいる。

  1. 目標を設定する
    たとえば、新しいスキルを学ぶ、健康を維持するための運動を習慣化するなど、小さな目標を持つことで日々に彩りを加える。

  2. 日々の中に「特別な瞬間」を作る
    平日の昼間に普段は行かないカフェに行ったり、趣味のイベントに参加したりして「自分だけの特別な時間」を作る。

  3. 意識的に変化を取り入れる
    旅に出る、新しいコミュニティに参加するなど、日常とは違う体験を積極的に取り入れることで、平坦な感覚を解消する。


FIRE後の生活とストレスの価値

興味深いのは、会社員時代のストレスが「自己拡張」の機会を与えていたという点である。

FIRE後の生活は確かに穏やかで、ストレスは少ない。しかし、ストレスが全くない生活は、人を少しずつ惰性的にしてしまう一面もある。会社員時代、プレッシャーの中で新しいスキルを学び、他人と協力して成果を出す機会が多かった。今になって、その価値を改めて実感することがある。


まとめ:FIREの喜びと課題

FIREを達成したことで得られる自由と平穏は確かに素晴らしい。一方で、感情の波が少なくなることで感じる物足りなさや単調さもまた現実である。

重要なのは、FIRE後の生活をどうデザインするか。日常に変化を取り入れ、意識的に新しい挑戦や楽しみを見つけることで、FIRE後の日々をさらに充実したものにできると感じている。

日曜夜の憂鬱がなくなった今、求めるのは「新しい形のメリハリ」。それを追い求めることで、FIRE後の生活はさらに豊かなものになるだろう。

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