女性とキャリアと結婚
経営者、と呼ばれる立場になって、世の中の女性経営者ってどんな人がいるんだろう?と調べてみたことがあります。もちろん色んな人がいらっしゃるのですが、実は多いパターンのひとつが世襲制で経営者になった方々。有名所では、エステーの鈴木貴子さんとか(いつも白いスーツを着ておられて素敵です)、メディアでも色々取り上げられていらっしゃる諏訪貴子さんとか(著作拝見しました。元気が出ます)。もちろん、男性でも世の中見渡せばファミリービジネスはとっても多いので、世襲制で経営者になる方というのは結構な数。私みたいに、自分で経営者になりたい、と首を突っ込む人間は割合から言えば少数派ということになります。
その中で、さらにすごいなあ、と個人的に思うのが、結婚によって経営やビジネスをたまたますることになったパターン。
結婚してキャリアがスタートするパターン
私はボランティアで婚活マーケティングを教えていたり、ブランディングのキャリアにおける使い方を教える講座をやったことがあったりするのですが、私の中では婚活で使った自分のブランドとキャリアで使っている自分のブランドとは全く別物。仕事と家庭の両立とか、ライフアンドワークバランスこそあれ、結婚することがイコール自分のキャリアになる、という生き方は考えてもみませんでした。でも、この成功パターン、実は結構あり、しかも素敵な方が多い。
知り合いではもちろんありませんが、まずはドラマで流行っているというこちら。実在の人物だったらしいですね。
大道芸人の養女だった主人公周瑩が商人と結婚し、夫の突然の死によって自身が商人として成功していく、というドラマになっています。清朝末期が舞台なのですが、女性が商売なんて、というシーンがとても多く、実在した人物だというのがすごいですね。
私の身近な例だと、歴史ある温泉宿に嫁いで女将さん=まさに宿のCEOになった事例。しかもすごいのが、引き抜いたのが当時の女将。自分であちこちネットワークを使ってこれという人を探した末に、自分で面接し(急に会いましょう、と連絡をもらったそうです)、自分が会った後に息子を紹介して結婚というパワフルな女将さんの大引き抜きです。確かに宿の成功の鍵を握っているのは女将さん。経営者であれば、自分で選んで継承するのが正しいやり方。
経営ではありませんが、結婚=キャリアのわかりやすい例が皇族、王族とのご結婚ですよね。今大きな話題になっている眞子さまのご結婚もそうですが、The Crownは世襲した女王とそのパートナーの葛藤や(エリザベス女王とフィリップ王配)ダイアナ元妃とチャールズ皇太子の葛藤など、結婚とともにキャリアがついてくるパターンの難しさを描いています。
そして、私が本当に素晴らしい事例だな、とつくづく思うのが、最近お知り合いになった日本の誇る伝統芸能のおうちに嫁がれた方の結婚=キャリア。
日本の伝統芸能といえば、存続が大変なものが多く、今の時代に受けいられる形で、しかももともとの良さを残し、認知や関心を上げ、今や海外にも打って出る、と、持続と反映にはものすごいエネルギー、ビジネス戦略、実行力が必要になります。そんな伝統芸能を背負って立つ、ご主人いわく”CEO"であり、また広報部長でもあるような素敵な女性です。
結婚=キャリアで成功する女性の共通点
私が、この方や、宿の女将さん、またその他私の知っている女性経営者の方で成功されている方を見ていて思う共通点が3つあります。
1.来る者拒まずの「しなやかマインドセット」
大変なことがたくさん起こる中で、みなさん、共通してポジティブ心理学言うところの「しなやかマインドセット」(Growth mindset)をお持ちです。ドラマの周瑩もせっかく亡き義父が呉家大当主の印である「式易堂大印」を残してくれたにも関わらず、叔父たちが周瑩を認めなかった時に、「大当主の座はあきらめるけど、東院の財産は返してもらう。」と断言。なんとかしよう、という気持ちが強い。
2.縁を呼び込む力
この方達とお話していると本当によく出てくる表現が「たまたまXXさんと知り合いになって」「YYさんとご縁があり」のたまたま人脈。いやあ、絶対に呼び込んでいるでしょう、と思います。人間、認知バイアスの研究でも明らかになっていますが、自分が関心を持っていることしか基本目に入らないし、記憶に残らない。成功する「結婚からキャリア」の女性は人を呼び込む力、というか、出会いを活かしきる力が半端ない。さらに、類は友を呼ぶし、頑張る人は助けたくなるもの。出会いが向こうからやってくる(ように見える)
3.結局は自分のやっていることが好き
最初から自分が結婚とともにこういうキャリアを進むと思っていましたか?とか、もともと今やられているようなことが得意でしたか?という質問をすれば、「いいえ」なのですが、今自分がやっていることに非常に意義を感じておられるし、しかも好き。
成功するキャリアの共通点
実は、結婚でキャリアをスタートして成功しておられる女性の共通点は、一般的にキャリア満足度の高い人の共通点でもあります。結婚でキャリアをスタートするほうが、一般的に自分で自分の学歴や職歴から仕事を探してスタートするよりも制限が大きいように一見見えますが、実は普通のキャリアにおいても、特にキャリアのスタート時においては、仕事の内容が明確にわからないままに仕事、というより日本の場合会社を選ぶことも多いですし、自分の得意なこと、好きなことは、こと仕事に関しては私はやってみないとわからない、と思っています(特に管理職の向き不向きと楽しさ)
1 のGrowth mindsetはまさにキャリアで有名なPlanned Happen Stance(計画された偶発性理論とは、スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授らが提案したキャリア論に関する考え方。個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される。その偶然を計画的に設計し、自分のキャリアを良いものにしていこうという考え方。by wiki) 、2だって会社の内外問わず起こること。結婚という偶然でやってきたキャリアのチャンスを自分が活かすかどうかは、就職という偶然でやってくるのと多くの共通点があると思います。
どちらの場合にも、自分が選んだのではないのに、と被害者マインドセットやポジティブ心理学言うところの「こちこちマインドセット」(fixed mindset)に入ると危険。絶対に幸せなキャリアは描けないので要注意。