育休あけたら世界が変わっていた話
4月に育休から復職をして、猛烈な勢いで1ヶ月が過ぎ去った。産休に入った1年3ヶ月前は、2019年12月。世界はbeforeコロナだった。深夜まで稼働する広告デザイン業界では、妊婦の肩身は狭かった。それでも色んな人に助けていただきながら、何とか産休の入り口に立った時は、ひたすら安堵した覚えがある。これでもう誰にも迷惑かけなくてすむと。
しかし1年3ヶ月は長かった。育休中は、ああ働きたいなあと何度も思った。(そもそも私は、仕事が結構好きだったのだ)。同時に、生き馬の目を抜く広告業界(?)に戻れるのだろうか、と不安は不穏な積乱雲のように膨れ上がっていった。もくもくと。
育休中の世界の全ては、自分と夫と子どもの3人。しかもコロナ禍だ。完全にイマジネーションの中だけで生きているうちに、不安ばかりが大きくなっていく。育休はとっても幸せな時間だったけど、とっても孤独な時間でした。
泣いても笑っても、とうとう復職して
不安に塗れていた復職前の自分に言ってあげたい言葉は、案ずるより産むが易し。(そして出産より大変なことなんて、存在しない 笑)。始まってしまえば、あっという間に日常が舞い戻ってきた。最近は、息子の下痢にも気を揉むけど、業務の進行や競合プレの戦略などにも頭を悩まされており、結果、心のバランスを取り戻せてきている気がする。
しかし、この1年3ヶ月は、普通の1年3ヶ月ではなかったようで、育休から明けて、業界は様変わりをしていた。浦島太郎状態とは、完全にこのことである。しかしそれもこれも、猛烈に時間のないワーママにとっては、予想外の追い風となっている。
コロナ禍は広告業界を変えた
浦島太郎が陸に上がると、、なんと全員リモートワークに切り替わっていたのである。特にクリエイティブ分野は、完全に利害関係が一致したようだ。みんな少しだけ「幸せになった」ように感じるのだ。今まではギリギリ通えなかった関東近郊あたりに、移住している人も多数。「通勤時間が20分減ると、年収が100万上がったと同程度の幸福感が得られる」というような記事を読んだことがあるが、なんだかみんな少しだけ幸せそうに、少しだけ健康的になっているように感じる。
例えば、「待機」の概念は無くなった。「何かあったら修正対応」するための何か待ちという、あの嫌な状態だ。修行。若かりし頃、最長5時間ほど会社で待機してたこともあったなあ。ところが今はお風呂なんかに入りながら、なんなら連絡が来なくてもいいや〜くらいの大らかな気持ちで待ってればいいのだ。いや待たなくてもいいのだ。腹が立ったらビールでも飲んでしまえばいいのだ。プライベートと仕事の境界がなくなるのが嫌、という意見ももちろんあると思うが、「前に戻りたいか」と問うと、みんな口を揃えて「今のがいいです」と答える。
もちろん、いい事ばかりではないですよ。仕事仲間に会えないストレスはある。今まで顔を付き合わせて仕事をしていたのだ。企画の打ち合わせや進捗の確認など、リモートでは上手くいかないこともたくさんある。その方法は、絶賛模索中だ。(でも私だけではなく、みんなが模索中という状態なので、すぐに最適解に辿り着くはずと信じてます!)
今のところは、補って余りあるメリットを感じるリモートワーク時代。「時代なんてパッと変わる。」という秋山晶さんのコピーが大好きだが、本当に時代なんてパッと変わるのですね。根本的なところは何も進んでいなかった広告業界の働き方改革が、急に進んだのだ。山が動いたのだ。これはすごい話です。
ワーママには追い風の時代
ということで、猛烈な勢いで働いてます。産休前より全然濃いです。
私はbeforeコロナは、ドアtoドアで片道1時間、1日2時間を通勤に費やしていた。打ち合わせの移動などで、さらに3時間ほど取られる日もあった。結果デザイナーにとって命である作業時間は「皆が寝てから」になってしまうのが業界の常識だった。これはママにとっては大変難しい働き方であるのは、想像力がなくても分かる。だからママは第一線を退くことが多かったのだ。
それが今は、子どもを保育園に預けている10時間を、ほぼ全て仕事にあてられるのだ。もちろん時短を取る必要もない。親の事情はお構いなしの保育園からのお迎えコールも、柔軟に対応できてしまうのだ。(ただ「自宅保育しながら仕事」は限りなく無理・・に近いです)。なんだかワーママにとっては良いことしか無いような・・!?逆に今までのワーママはどうやってたのだ?
時間をパズルのように使えるということ。朝9時前からパソコンに向かう。(beforeコロナの業界の朝は、平均11時でした・・)18時頃まで集中して仕事をして、モチが帰ってきたらモチラブタイム。寝かしつけて21時くらいからを、仕事のバッファの時間に。バッファはあくまでバッファなので、使わない日は使わない。土日ちょこっと仕事をすることも、やぶさかではない。定時以外仕事しないと決める方が、自分にはストレスに感じるのだ。
そんなこんななやり方で、不器用なりに1ヶ月を乗り切った。。はあ。前の自分のスペックに戻れたかというと、リハビリ中なのでまだまだだが、、でも我ながら何とか楽しくやっていると思う。そのうち音を上げるかもだが、今のところは。
モチもとうとう、3週間をかけた壮大な慣らし保育プロジェクトが完了!保育園では笑顔を見せているらしい。子どもってすごいな。一方、GWは下痢に熱にと大荒れだった。親って本当に大変だな。。
それにしても育休中の3倍速で時間が過ぎます。順風満帆風に書き連ねましたが、なかなか大変な1ヵ月でした。ずっとテンパってました。復職を機にお部屋に買ったガジュマルを、2週間で枯らしました。
さて5月が始まりました。続きます〜